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松山地方裁判所 昭和55年(行ウ)3号 判決 1991年4月18日

原告 三宅隆男

被告 伊予三島税務署長

代理人 吉田幸久 今井壽二郎 森池裕一郎 志賀和之 亀崎邦雄 内海洋治 ほか二名

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告が昭和五四年三月一二日付けで原告の昭和五〇年分所得税についてした決定のうち総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額の合計額が二六七万七三八四円を超える部分及び無申告加算税賦課決定を取り消す。

2  被告が昭和五四年三月一二日付けで原告の昭和五一年分所得税についてした更正のうち総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額の合計額が五二〇万三六三三円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。

3  被告が昭和五四年三月一二日付けで原告の昭和五二年分所得税についてした更正のうち総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額の合計額が八八二万一三五七円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。

4  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二当事者の主張

一  請求原因

1  原告の事業

原告は、建築設計及びアパートの経営を業とする者である。

2  課税の経過

(一) 申告等

原告は、昭和五〇年分所得税の確定申告書を提出しなかった。また、原告は、別表(一)の昭和五一年及び昭和五二年の各「確定申告」欄記載のとおり昭和五一年分及び昭和五二年分の各所得税の確定申告をした(それぞれ本件確定申告(一)及び同(二))。さらに、原告は、別表(一)の昭和五〇年ないし昭和五二年の各「修正申告」欄記載のとおり昭和五〇年分ないし昭和五二年分の各所得税の修正申告をした。

(二) 更正等

被告は、昭和五四年三月一二日付けで、別表(一)の昭和五〇年ないし昭和五二年の各「決定(または更正)及び賦課決定」欄記載のとおり、原告の昭和五〇年分所得税につき決定(本件決定)及び賦課決定(本件賦課決定(一)、同決定と本件決定とを併せて本件処分(一))を、昭和五一年分所得税につき更正(本件更正(一))及び賦課決定(本件賦課決定(二)、同決定と本件更正(一)とを併せて本件処分(二))を、及び昭和五二年分所得につき更正(本件更正(二))及び賦課決定(本件賦課決定(三)、同決定と本件更正(二)とを併せて本件処分(三)、同処分と本件処分(一)及び同(二)とを併せて本件処分等)をそれぞれ行った。

(三) 異議及び不服審査

原告は、昭和五四年三月三一日付けで本件処分等につき異議申立てを行った。被告は、同年六月三〇日付けで別表(一)の昭和五〇年ないし昭和五二年の各「異議決定」欄記載のとおり、総所得金額及び分離課税の長期譲渡所得金額を認定し、右申立てをいずれも棄却する旨の決定をした。原告は、昭和五四年七月二五日付けで審査請求を行った。国税不服審判所長は、昭和五五年七月二四日付けで別表(一)の昭和五〇年ないし昭和五二年の各「裁決」欄記載のとおり、総所得金額及び分離課税の長期譲渡所得金額を認定し、本件賦課決定(一)の加算税のうち四万八〇〇〇円を超える部分及び同(二)の加算税のうち二二万一七〇〇円を超える部分をいずれも取り消し、その余の右申立てをいずれも棄却する旨の裁決をした。

3  本件処分等の違法

しかし、被告がした本件決定、本件更正(一)及び同(二)(本件更正等)のうち、修正申告に係る総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額を超える部分は、いずれも原告の所得を過大に認定したものであるから違法であり、したがって、また、本件更正等を前提としてされた本件賦課決定(一)、同(二)及び同(三)(本件賦課決定等)も違法である。

よって、原告は、被告に対し、本件処分等の取消しを求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は認める。

2  同2の事実のうち、(一)の原告が各係争年分所得税について修正申告をしたことは否認し、その余は認める。

3  同3の主張は争う。

三  被告の主張

1  原告の昭和五〇年分所得税

(一) 本件決定

原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額は、九五五万三六二二円であり、かりにそうでないとしても九五二万八〇一四円であるから、右合計額の範囲内でされた本件決定に違法はない。

(1) 総所得金額

ア 事業所得の金額

あ 建築関係の金額

原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち建築関係の金額は、収入金額一〇三七万六〇六七円から必要経費九六一万九六五二円を控除した七五万六四一五円である。

い 宅地造成関係の金額

(ア) 収入金額

(あ) 売買及び交換により生じた所得

原告は、対価を得て継続的に行う意思をもって売買をするために宅地造成した別表(一〇)記載の各土地のうち別表(五)記載の各土地について、昭和五〇年同別表記載の売買をし、売買代金合計八六二万円の収入を得た。

また、原告は、対価を得て継続的に行う意思をもって売買をするために宅地造成した別表(一〇)記載の各土地のうち別表(六)記載の土地について、昭和五〇年同別表記載の交換をし、四〇二万二四七〇円の収入を得た。右収入金額四〇二万二四七〇円は、取得資産付近の売買実例から、右取得資産の一平方メートル当たりの価額を一万八三一八円とし、これに右取得資産の面積一六五平方メートルを乗じた右取得資産の価額三〇二万二四七〇円と、三宅陽一が原告に支払った差金一〇〇万円とを加えた四〇二万二四七〇円である。

(い) 譲渡所得に係る収入金額

前記(あ)の売買をした土地及び交換をした土地のうち二三二平方メートルの部分(原告が昭和四六年六月一二日川之江市から譲り受けた分合筆前川之江市川之江町字井地山一〇二七番二(以下、川之江市川之江町字井地山の所在は地番のみで示す。)、四六二平方メートルの土地から分合筆した六一平方メートルの部分を除いた土地)は、前記(あ)の宅地造成以前に原告が相続等により取得したものである。

(主位的主張)

前記(あ)の売買及び交換による収入のうち、譲渡所得に係る収入金額は後記(2)ア(主位的主張)のとおり一六六万七六二四円である。

(予備的主張)

前記(あ)の売買及び交換による収入のうち譲渡所得に係る収入金額は、後記(2)ア(予備的主張)のとおり二一七万九七八四円である。

(う) 収入金額の計算

前記(い)のとおり前記(あ)の売買をした土地及び交換をした土地のうち二三二平方メートルの部分は、いずれも原告が相続等により取得した山林の一部であり、原告はその後右山林を対価を得て継続的に行う意思をもって宅地造成(区画形質の変更)して売買したものである。このような場合、右売買及び交換によって生じた所得には、譲渡所得に該当する部分と事業所得に該当する部分とが含まれる。そこで、右所得のうち、宅地造成によって生じた利益に対応する部分を事業所得とし、その他の部分を譲渡所得とする。そして、事業所得に係る収入金額は、右宅地等の売買代金額から譲渡所得に係る収入金額を控除して求めることとなる。

また、前記(あ)の交換をした土地のうち、原告が昭和四六年六月一二日川之江市から譲り受けた分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した六一平方メートルの部分の交換による所得は、すべて事業所得に該当する(所得税基本通達三三の四)。

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額は、前記(あ)の売買及び交換による収入合計一二六四万二四七〇円から、前記(い)(主位的主張)の譲渡所得に係る収入金額一六六万七六二四円を控除した一〇九七万四八四六円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(あ)の売買及び交換による収入合計一二六四万二四七〇円から前記(い)(予備的主張)の譲渡所得に係る収入金額二一七万九七八四円を控除した一〇四六万二六八六円である。

(イ) 必要経費

(あ) 取得費

原告は、昭和四六年六月一二日、川之江市から前記(ア)(あ)の交換をした土地のうち分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した六一平方メートルの部分を取得するため、二五万五七七三円を要した。右取得費二五万五七七三円は、原告が昭和四六年六月一二日川之江市から譲り受けた分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルと一〇二七番一九、一一三・七八平方メートルとの代金合計二四一万四二八二円を右両土地の面積五七五・七八平方メートルで除した右両土地の一平方メートル当たりの取得費四一九三円(一円未満切捨て)に、右分合筆した部分の面積六一平方メートルを乗じたものである。

(い) 造成経費

原告は、前記(ア)(あ)の売買及び交換をした各土地を宅地造成するため、二四七万七五二〇円を要した。右造成経費二四七万七五二〇円は、原告が別表(一〇)記載の土地を宅地造成するために、昭和四九年までに支出した一三五六万三〇〇〇円と昭和五〇年から昭和五二年までに支出した三八三二万七三二四円とを加えた造成費用合計五一八九万〇三二四円を、別表(一〇)記載の右宅地造成をした土地の面積一万八二五三平方メートル(別表(一三)記載)からそのうち宅地処分不可能見込面積である別表(一四)記載の道路部分の面積六二六平方メートルと別表(一五)記載の崖部分の面積九八平方メートルとを控除した処分可能見込面積一万七五二九・六九平方メートルで除した一平方メートル当たりの造成費用二九六〇円(一円未満切捨て)であり、右一平方メートル当たりの造成費用二九六〇円に前記(ア)(あ)の売買及び交換をした各土地の面積合計八三七平方メートルを乗じたものである。

(う) 譲渡費用

原告は、前記(ア)(あ)の売買及び交換をするため、仲介手数料三六万八五〇〇円及び吉岡辰一外三名に支払った土地売買契約の解約に伴う手数料二七五万円の合計三一一万八五〇〇円を要した。

(え) 必要経費の計算

原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費は、前記(あ)の取得費二五万五七七三円と前記(い)の造成経費二四七万七五二〇円と前記(う)の譲渡費用三一一万八五〇〇円とを加えた五八五万一七九三円である。

(ウ) 宅地造成関係の金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の金額は、前記(ア)(主位的主張)の収入金額一〇九七万四八四六円から前記(イ)の必要経費五八五万一七九三円を控除した五一二万三〇五三円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張)の収入金額一〇四六万二六八六円から前記(イ)の必要経費五八五万一七九三円を控除した四六一万〇八九三円である。

う 土地賃貸関係の金額

原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち土地賃貸関係の金額は、収入金額が一四四万円、必要経費がないから、一四四万円である。

え 事業所得の金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の事業所得の金額は、前記あの建築関係の金額七五万六四一五円と前記い(主位的主張)の宅地造成関係の金額五一二万三〇五三円と前記うの土地賃貸関係の金額一四四万円とを加えた七三一万九四六八円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記あの建築関係の金額七五万六四一五円と前記い(予備的主張)の宅地造成関係の金額四六一万〇八九三円と前記うの土地賃貸関係の所得の金額一四四万円とを加えた六八〇万七三〇八円である。

イ 不動産所得の金額

原告の昭和五〇年分所得税の不動産所得の金額は、収入金額四四〇万六〇〇〇円から必要経費三七五万六〇八九円を控除した六四万九九一一円である。

ウ 総所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額は、前記ア(主位的主張)の事業所得の金額七三一万九四六八円と前記イの不動産所得の金額六四万九九一一円とを加えた七九六万九三七九円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張)の事業所得の金額六八〇万七三〇八円と前記イの不動産所得の金額六四万九九一一円とを加えた七四五万七二一九円である。

(2) 分離課税の長期譲渡所得金額

ア 収入金額

あ 売買及び交換により生じた所得

原告は、相続等により取得した土地のうち別表(五)記載の売買をした各土地について、昭和五〇年同別表記載の売買をし(売買代金額は「被告主張」欄記載のとおり)、売買代金合計八六二万円の収入を得た。

また、原告は、別表(六)記載の交換をした土地のうち相続等により取得した二三二平方メートルの部分(原告が昭和四六年六月一二日川之江市から譲り受けた分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した六一平方メートルの部分を除いた土地)について、昭和五〇年同別表記載の交換をし、四〇二万二四七〇円の収入を得た。右収入金額四〇二万二四七〇円は、取得資産付近の売買実例から、右取得資産の一平方メートル当たりの価額を一万八三一八円とし、これに右取得資産の面積一六五平方メートルを乗じた右取得資産の価額三〇二万二四七〇円と、三宅陽一が原告に支払った差金一〇〇万円とを加えた四〇二万二四七〇円である。

い 一平方メートル当たりの素地価額

原告は、前記あの売買をした各土地及び交換をした土地の一部を含む別表(一〇)記載の土地について、相続等により取得した後に対価を得て継続的に行う意思をもって宅地造成したうえで右売買及び交換をした。

(主位的主張)

対価を得て継続的に行う意思をもって右宅地造成に着手した時期は昭和四五年一二月末ころであり、前記あの売買をした各土地及び交換をした土地の一部の右宅地造成の着手直前における一平方メートル当たりの価額は、二一四九円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、右宅地造成に着手した時期は昭和四六年一二月であり、前記あの売買をした各土地及び交換をした土地の一部の右宅地造成の着手直前における一平方メートル当たりの価額は、二八〇九円である。

う 面積

前記あの売買をした各土地及び交換をした土地の宅地造成の着手直前における面積は、右売買をした各土地の面積合計五四四平方メートルと右交換をした土地の一部の面積二三二平方メートルとを加えた七七六平方メートルである。

え 収入金額の計算

前記(1)アい(ア)(う)のとおり、前記あの売買及び交換をした各土地を含む右宅地等の譲渡に伴う所得のうち、宅地造成によって生じた利益に対応する部分は事業所得であり、その他の部分は譲渡所得に該当する。そして、右譲渡所得に係る収入金額は、右宅地造成(区画形質の変更等)の着手直前における当該土地の価額である。

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る収入金額は、前記あの売買及び交換による収入合計一二六四万二四七〇円のうち、前記い(主位的主張)の右売買をした各土地及び交換をした土地の一部の一平方メートル当たりの素地価額二一四九円に前記うの各土地の面積七七六平方メートルを乗じた一六六万七六二四円である。

(予備的主張)

かりにそうではないとしても、前記あの売買及び交換による収入合計一二六四万二四七〇円のうち、前記い(予備的主張)の右売買をした各土地及び交換をした土地の一平方メートル当たりの素地価額二八〇九円に前記うの各土地の面積七七六平方メートルを乗じた二一七万九七八四円である。

イ 経費

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る経費は、前記ア(主位的主張)の同所得に係る収入金額一六六万七六二四円の一〇〇分の五に相当する概算取得費八万三三八一円(一円未満四捨五入)である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張)の同所得に係る収入金額二一七万九七八四円の一〇〇分の五に相当する概算取得費一〇万八九八九円(一円未満四捨五入)である。

ウ 分離課税の長期譲渡所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額は、前記ア(主位的主張)の収入金額一六六万七六二四円から前記イ(主位的主張)の経費八万三三八一円を控除した一五八万四二四三円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張)の収入金額二一七万九七八四円から前記イ(予備的主張)の経費一〇万八九八九円を控除した二〇七万〇七九五円である。

(3) 総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額は、前記(1)(主位的主張)の総所得金額七九六万九三七九円と前記(2)(主位的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額一五八万四二四三円とを加えた九五五万三六二二円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(1)(予備的主張)の総所得金額七四五万七二一九円と前記(2)(予備的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額二〇七万〇七九五円とを加えた九五二万八〇一四円である。

(二) 本件賦課決定(一)

原告の昭和五〇年分所得税に係る無申告加算税の額は、一三万九三〇〇円であり、かりにそうでないとしても一三万三九〇〇円であるから、右金額の範囲内でされた本件賦課決定(一)に違法はない。

(1) 本件決定

原告は、昭和五〇年分所得税の納税申告書を提出すべき義務があったにもかかわらず、これを提出しなかった。そこで、被告は、昭和五四年三月一二日、本件決定を行った。

(2) 無申告加算税の額

ア 納付すべき所得税の額

あ 総所得金額に係る所得税の額

(ア) 課税総所得金額

(あ) 総所得金額

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額は、前記(一)(1)(主位的主張)のとおり七九六万九三七九円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(一)(1)(予備的主張)のとおり七四五万七二一九円である。

(い) 所得控除額

原告の昭和五〇年分所得税に係る所得控除額は、一五一万二〇〇〇円である。

(う) 課税総所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の課税総所得金額は、前記(あ)(主位的主張)の総所得金額七九六万九三七九円から前記(い)の所得控除額一五一万二〇〇〇円を控除した六四五万七〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨て)である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(あ)(予備的主張)の総所得金額七四五万七二一九円から前記(い)の所得控除額一五一万二〇〇〇円を控除した五九四万五〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨て)である。

(イ) 総所得金額に係る所得税の額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額に係る所得税の額は、前記(ア)(主位的主張)の課税総所得金額六四五万七〇〇〇円に一〇〇分の三〇を乗じた一九三万七一〇〇円から六六万円を控除した一二七万七一〇〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張)の課税総所得金額五九四万五〇〇〇円に一〇〇分の二七を乗じた一六〇万五一〇〇円(一〇〇円未満切捨て)から四八万円を控除した一一二万五一〇〇円である。

い 分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額

(ア) 分離課税の課税長期譲渡所得金額

(あ) 分離課税の長期譲渡所得金額

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額は、前記(一)(2)(主位的主張)のとおり一五八万四二四三円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(一)(2)(予備的主張)のとおり二〇七万〇七九五円である。

(い) 特別控除額

分離課税の長期譲渡所得に係る特別控除額は、一〇〇万円である。

(う) 分離課税の課税長期譲渡所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の課税長期譲渡所得金額は、前記(あ)(主位的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額一五八万四二四三円から前記(い)の特別控除額一〇〇万円を控除した五八万四〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨て)である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(あ)(予備的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額二〇七万〇七九五円から前記(い)の特別控除額一〇〇万円を控除した一〇七万円(一〇〇〇円未満切捨て)である。

(イ) 分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額に係る所得税の額は、前記(ア)(主位的主張)の分離課税の課税長期譲渡所得金額五八万四〇〇〇円に一〇〇分の二〇を乗じた一一万六八〇〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張)の分離課税の課税長期譲渡所得金額一〇七万円に一〇〇分の二〇を乗じた二一万四〇〇〇円である。

う 所得税の額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の額は、前記あ(主位的主張)の総所得金額に係る所得税の額一二七万七一〇〇円と前記い(主位的主張)の分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額一一万六八〇〇円とを加えた一三九万三九〇〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記あ(予備的主張)の総所得金額に係る所得税の額一一二万五一〇〇円と前記い(予備的主張)の分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額二一万四〇〇〇円とを加えた一三三万九一〇〇円である。

イ 無申告加算税の額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税に係る無申告加算税の額は、前記ア(主位的主張)の納付すべき所得税の額一三九万三九〇〇円の一〇〇〇円未満を切り捨てた一三九万三〇〇〇円に、一〇〇分の一〇を乗じた一三万九三〇〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張)の納付すべき所得税の額一三三万九一〇〇円の一〇〇〇円未満を切り捨てた一三三万九〇〇〇円に、一〇〇分の一〇を乗じた一三万三九〇〇円である。

2  原告の昭和五一年分所得税

(一) 本件更正(一)

原告の昭和五一年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額は、四一一四万五一六三円であり、かりにそうでないとしても四〇五六万六三七七円であるから、右合計額の範囲内でされた本件更正(一)に違法はない。

(1) 総所得金額

ア 事業所得の金額

あ 建築関係の金額

原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち建築関係の金額は、収入金額二二九万九三九一円から必要経費二〇九万四七四六円を控除した二〇万四六四五円である。

い 宅地造成関係

(ア) 収入金額

(あ) 売買により生じた所得

原告は、対価を得て継続的に行う意思をもって売買をするために宅地造成した別表(一〇)記載の各土地のうち別表(七)記載の売買をした各土地について、昭和五一年同別表記載の売買をし(売買代金額は「被告主張」欄記載のとおり)、売買代金合計四八四九万円の収入を得た。

(い) 譲渡所得に係る収入金額

前記(あ)の売買をした各土地のうち別表(七)1ないし5、7ないし17記載の売買をした各土地及び同別表6記載の売買をした土地の一部分(原告が昭和四六年六月一二日川之江市から譲り受けた分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した一九八平方メートルの部分を除いた土地)は、前記(あ)の宅地造成以前に原告が相続等により取得したものである。

(主位的主張)

前記(あ)の売買による収入のうち譲渡所得に係る収入金額(ただし、特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例を適用する前のもの)は、後記(2)アい(主位的主張)の一平方メートル当たりの素地価額二一四九円に右売買をした各土地のうち別表(七)1ないし5、7ないし17記載の売買をした各土地及び同別表6記載の売買をした土地の一部分の面積合計一六五五平方メートルを乗じた三五五万六五九五円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、後記(2)アい(予備的主張)の一平方メートル当たりの素地価額二八〇九円に右売買をした各土地のうち別表(七)1ないし5、7ないし17記載の売買をした各土地及び同別表6記載の売買をした土地の一部分の面積合計一六五五平方メートルを乗じた四六四万八八九五円である。

(う) 収入金額の計算

前記(い)のとおり前記(あ)の売買をした各土地のうち別表(七)1ないし5、7ないし17記載の売買をした各土地及び同別表6記載の売買をした土地の一部分は、いずれも原告が相続等により取得した山林の一部であり、原告は、その後右山林を対価を得て継続的に行う意思をもって宅地造成して売買したものである。このような場合、前記1(一)(1)アい(ア)(う)のとおり、右売買によって生じた所得のうち、宅地造成によって生じた利益に対応する部分を事業所得、その他の部分を譲渡所得とし、事業所得に係る収入金額を右土地の売買代金額から譲渡所得に係る収入金額を控除して求める。

また、前記1(一)(1)アい(ア)(う)のとおり、前記(あ)の別表(七)6記載の売買をした土地のうち、原告が昭和四六年六月一二日川之江市から譲り受けた分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した一九八平方メートルの部分の売買による所得は、すべて事業所得に該当する。

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額は、前記(あ)の売買による収入合計四八四九万円から前記(い)(主位的主張)の譲渡所得に係る収入金額三五五万六五九五円を控除した四四九三万三四〇五円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(あ)の売買による収入合計四八四九万円から前記(い)(予備的主張)の譲渡所得に係る収入金額四六四万八八九五円を控除した四三八四万一一〇五円である。

(イ) 必要経費

(あ) 取得費

原告は、昭和四六年六月一二日、川之江市から前記(ア)(あ)の別表(七)6記載の売買をした土地のうち分合筆前一〇二七番地二、四六二平方メートルから分合筆した一九八平方メートルの部分を取得するため、八三万〇二一四円を要した。右取得費八三万〇二一四円は、前記1(一)(1)アい(イ)(あ)と同様の一平方メートル当たりの取得費四一九三円に右分合筆した部分の面積一九八平方メートルを乗じたものである。

(い) 造成経費

原告は、前記(ア)(あ)の売買をした各土地を宅地造成するため、五四八万四八八〇円を要した。右造成経費五四八万四八八〇円は、前記1(一)(1)アい(イ)(い)と同様の一平方メートル当たりの造成経費二九六〇円に前記(ア)(あ)の売買をした各土地の面積合計一八五三平方メートルを乗じたものである。

(う) 譲渡費用

原告は、前記(ア)(あ)の売買をするため、仲介手数料一三九万八八六〇円及び支払利息七四万七九二八円の合計二一四万六七八八円を要した。

(え) 必要経費の計算

原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費は、前記(あ)の取得費八三万〇二一四円と前記(い)の造成経費五四八万四八八〇円と前記(う)の譲渡費用二一四万六七八八円とを加えた八四六万一八八二円である。

(ウ) 宅地造成関係の金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の金額は、前記(ア)(主位的主張)の収入金額四四九三万三四〇五円から前記(イ)の必要経費八四六万一八八二円を控除した三六四七万一五二三円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張)の収入金額四三八四万一一〇五円から前記(イ)の必要経費八四六万一八八二円を控除した三五三七万九二二三円である。

う 土地賃貸関係の金額

原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち土地賃貸関係の金額は、収入金額が九六万円、必要経費がないから、九六万円である。

え 事業所得の金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の事業所得の金額は、前記あの建築関係の金額二〇万四六四五円と前記い(主位的主張)の宅地造成関係の金額三六四七万一五二三円と前記うの土地賃貸関係の金額九六万円とを加えた三七六三万六一六八円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記あの建築関係の金額二〇万四六四五円と前記い(予備的主張)の宅地造成関係の金額三五三七万九二二三円と前記うの土地賃貸関係の金額九六万円とを加えた三六五四万三八六八円である。

イ 不動産所得の金額

原告の昭和五一年分所得税の不動産所得の金額は、収入金額七七九万三〇〇〇円から必要経費六一二万〇七三四円を控除した一六七万二二六六円である。

ウ 利子所得の金額

原告の昭和五一年分所得税の利子所得の金額は、利子等の収入金額一六万四七〇〇円である。

エ 総所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の総所得金額は、前記ア(主位的主張)の事業所得の金額三七六三万六一六八円と前記イの不動産所得の金額一六七万二二六六円と前記ウの利子所得の金額一六万四七〇〇円とを加えた三九四七万三一三四円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張)の事業所得の金額三六五四万三八六八円と前記イの不動産所得の金額一六七万二二六六円と前記ウの利子所得の金額一六万四七〇〇円とを加えた三八三八万〇八三四円である。

(2) 分離課税の長期譲渡所得金額

ア 収入金額

あ 売買により生じた所得

原告は、相続等により取得した別表(七)4、5、7ないし17記載の売買をした各土地について、昭和五一年同別表記載の売買をし(売買代金額は「被告主張」欄記載のとおり)、売買代金合計一八〇九万円の収入を得た。なお、同別表の1ないし3及び6記載の売買は、特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(租税特別措置法三七条)の場合に当たるから、譲渡所得に関してはその売買がなかったものとされる。

い 一平方メートル当たりの素地価額

原告は、前記あの売買をした各土地を含む別表(一〇)記載の土地について、相続等により取得した後に対価を得て継続的に行う意思をもって宅地造成したうえで右売買及び交換をした。

(主位的主張)

対価を得て継続的に行う意思をもって右宅地造成に着手した時期は昭和四五年一二月末ころであり、前記あの売買をした各土地の宅地造成の着手直前における一平方メートル当たりの価額は、二一四九円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、右宅地造成に着手した時期は昭和四六年一二月であり、前記あの売買をした各土地の右宅地造成の着手直前における一平方メートル当たりの価額は、二八〇九円である。

ウ 面積

前記あの売買をした各土地の宅地造成の着手直前における面積は、右売買をした各土地の面積合計八一九平方メートルである。

え 収入金額の計算

前記(1)アい(ア)(う)のとおり、前記あの売買をした各土地を含む右宅地等の譲渡に伴う所得のうち、宅地造成によって生じた利益に対応する部分は事業所得であり、その他の部分は譲渡所得に該当する。そして、前記1(一)(2)アえと同様に、右譲渡所得に係る収入金額は、右宅地造成の着手直前における当該土地の価額である。

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る収入金額は、前記あの売買による収入合計一八〇九万円のうち、前記い(主位的主張)の右売買をした各土地の一平方メートル当たりの素地価額二一四九円に前記うの右各土地の面積八一九平方メートルを乗じた一七六万〇〇三一円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記あの売買による収入合計一八〇九万円のうち、前記い(予備的主張)の右売買をした各土地の一平方メートル当たりの素地価額二八〇九円に前記うの右各土地の面積八一九平方メートルを乗じた二三〇万〇五七一円である。

イ 経費

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る経費は、前記ア(主位的主張)の同所得に係る収入金額一七六万〇〇三一円の一〇〇分の五に相当する概算取得費八万八〇〇二円(一円未満四捨五入)である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張)の同所得に係る収入金額二三〇万〇五七一円の一〇〇分の五に相当する概算取得費一一万五〇二八円(一円未満切捨て)である。

ウ 分離課税の長期譲渡所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額は、前記ア(主位的主張)の収入金額一七六万〇〇三一円から前記イ(主位的主張)の経費八万八〇〇二円を控除した一六七万二〇二九円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張)の収入金額二三〇万〇五七一円から前記イ(予備的主張)の経費一一万五〇二八円を控除した二一八万五五四三円である。

(3) 総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額は、前記(1)(主位的主張)の総所得金額三九四七万三一三四円と前記(2)(主位的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額一六七万二〇二九円とを加えた四一一四万五一六三円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(1)(予備的主張)の総所得金額三八三八万〇八三四円と前記(2)(予備的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額二一八万五五四三円とを加えた四〇五六万六三七七円である。

(二) 本件賦課決定(二)

原告の昭和五一年分所得税に係る過少申告加算税の額は、八八万一三〇〇円であり、かりにそうでないとしても八五万三六〇〇円であるから、右金額の範囲内でされた本件賦課決定(二)に違法はない。

(1) 本件更正(一)

原告は、昭和五二年三月一五日、被告に対し、本件確定申告(一)を行った。しかし、被告は、昭和五四年三月一二日、右申告書に記載された課税標準等又は税額等が調査したところと異なるので、本件更正(一)を行った。

(2) 過少申告加算税の額

ア 納付すべき所得税の額

あ 総所得金額に係る所得税の額

(ア) 課税総所得金額

(あ) 総所得金額

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の総所得金額は、前記(一)(1)(主位的主張)のとおり三九四七万三一三四円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(一)(1)(予備的主張)のとおり三八三八万〇八三四円である。

(い) 所得控除額

原告の昭和五一年分所得税に係る所得控除額は、一四七万三〇〇〇円である。

(う) 課税総所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の課税総所得金額は、前記(あ)(主位的主張)の総所得金額三九四七万三一三四円から前記(い)の所得控除額一四七万三〇〇〇円を控除した三八〇〇万円(一〇〇〇円未満切捨て)である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(あ)(予備的主張)の総所得金額三八三八万〇八三四円から前記(い)の所得控除額一四七万三〇〇〇円を控除した三六九〇万七〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨て)である。

(イ) 総所得金額に係る所得税の額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の総所得金額に係る所得税の額は、前記(ア)(主位的主張)の課税総所得金額三八〇〇万円に一〇〇分の六〇を乗じた二二八〇万円から五二四万円を控除した一七五六万円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張)の課税総所得金額三六九〇万七〇〇〇円に一〇〇分の六〇を乗じた二二一四万四二〇〇円から五二四万円を控除した一六九〇万四二〇〇円である。

い 分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額

(ア) 分離課税の課税長期譲渡所得金額

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の分離課税の課税長期譲渡所得金額は、前記(一)(2)(主位的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額一六七万二〇二九円の一〇〇〇円未満を切り捨てた一六七万二〇〇〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(一)(2)(予備的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額二一八万五五四三円の一〇〇〇円未満を切り捨てた二一八万五〇〇〇円である。

(イ) 分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額に係る所得税の額は、前記(ア)(主位的主張)の分離課税の課税長期譲渡所得金額一六七万二〇〇〇円に一〇〇分の二〇を乗じた三三万四四〇〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張)の分離課税の課税長期譲渡所得金額二一八万五〇〇〇円に一〇〇分の二〇を乗じた四三万七〇〇〇円である。

う 所得税の額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の額は、前記あ(主位的主張)の総所得金額に係る所得税の額一七五六万円と前記い(主位的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額に係る所得税の三三万四四〇〇円とを加えた一七八九万四四〇〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記あ(予備的主張)の総所得金額に係る所得税の額一六九〇万四二〇〇円と前記い(予備的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額に係る所得税の額四三万七〇〇〇円とを加えた一七三四万一二〇〇円である。

イ 過少申告加算税の額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税に係る過少申告加算税の額は、前記ア(主位的主張)の納付すべき所得税の額一七八九万四四〇〇円から前記(1)の本件確定申告(一)の所得税の額二六万七四〇〇円を控除した一七六二万七〇〇〇円に、一〇〇分の五を乗じた八八万一三〇〇円(一〇〇円未満切捨て)である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張)の納付すべき所得税の額一七三四万一二〇〇円から前記(1)の本件確定申告(一)の所得税の額二六万七四〇〇円を控除した一七〇七万三八〇〇円に、一〇〇分の五を乗じた八五万三六〇〇円(一〇〇円未満切捨て)である。

3  原告の昭和五二年分所得税

(一) 本件更正(二)

原告の昭和五二年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額は、七三八六万五九二八円であり、かりにそうでないとしても七三六四万九四三五円であるから、右合計額の範囲内でされた本件更正(二)に違法はない。

(1) 総所得金額

ア 事業所得の金額

あ 建築関係の金額

原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち建築関係の金額は、収入金額一九三七万四八四七円から必要経費一七六三万八八六一円を控除した一七三万五九八六円である。

い 宅地造成関係

(ア) 収入金額

(あ) 売買により生じた所得

原告は、対価を得て継続的に行う意思をもって売買をするために宅地造成した別表(一〇)記載の各土地のうち別表(八)記載の売買をした各土地について、昭和五二年同別表記載の売買をし(売買代金額は「被告主張」欄記載のとおり)、売買代金合計八一六四万七〇〇〇円の収入を得た。

(い) 譲渡所得に係る収入金額

前記(あ)の売買をした各土地は、前記(あ)の宅地造成以前に原告が相続等により取得したものである。

(主位的主張)

前記(あ)の売買による収入のうち譲渡所得に係る収入金額(ただし、特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例を適用する前のもの)は、後記(2)アい(主位的主張)の一平方メートル当たりの素地価額二一四九円に右売買をした各土地の面積合計三三八七・四平方メートルを乗じた七二七万九五二三円(一円未満四捨五入)である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、後記(2)アい(予備的主張)の一平方メートル当たりの素地価額二八〇九円に右売買した各土地の面積合計三三八七・四平方メートルを乗じた九五一万五二〇七円(一円未満四捨五入)である。

(う) 収入金額の計算

前記(い)のとおり前記(あ)の売買をした各土地は、いずれも原告が相続等により取得した山林の一部であり、原告は、その後右山林を対価を得て継続的に行う意思をもって宅地造成して売買したものである。このような場合、前記1(一)(1)アい(ア)(う)のとおり、右売買によって生じた所得のうち、宅地造成によって生じた利益に対応する部分を事業所得、その他の部分を譲渡所得とし、事業所得に係る収入金額を右土地の売買代金額から譲渡所得に係る収入金額を控除して求める。

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額は、前記(あ)の売買による収入合計八一六四万七〇〇〇円から前記(い)(主位的主張)の譲渡所得に係る収入金額七二七万九五二三円を控除した七四三六万七四七七円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(あ)の売買による収入合計八一六四万七〇〇〇円から前記(い)(予備的主張)の譲渡所得に係る収入金額九五一万五二〇七円を控除した七二一三万一七九三円である。

(イ) 必要経費

(あ) 造成経費

原告は、前記(ア)(あ)の売買をした各土地を宅地造成するため、一〇〇二万六七〇四円を要した。右造成経費一〇〇二万六七〇四円は、前記1(一)(1)アい(イ)(い)と同様の一平方メートル当たりの造成経費二九六〇円に前記(ア)(あ)の売買をした各土地の面積合計三三八七・四平方メートルを乗じたものである。

(い) 譲渡費用

原告は、前記(ア)(あ)の売買をするため、仲介手数料二九一万八〇〇〇円及び支払利息八一万〇七五八円の合計三七二万八七五八円を要した。

(う) 必要経費の計算

原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費は、前記(あ)の造成経費一〇〇二万六七〇四円と前記(い)の譲渡費用三七二万八七五八円とを加えた一三七五万五四六二円である。

(ウ) 宅地造成関係の金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の金額は、前記(ア)(主位的主張)の収入金額七四三六万七四七七円から前記(イ)の必要経費一三七五万五四六二円を控除した六〇六一万二〇一五円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張)の収入金額七二一三万一七九三円から前記(イ)の必要経費一三七五万五四六二円を控除した五八三七万六三三一円である。

う 土地賃貸関係の金額

原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち土地賃貸関係の金額は、収入金額が一五万円、必要経費がないから、一五万円である。

え 事業所得の金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の事業所得の金額は、前記あの建築関係の金額一七三万五九八六円と前記い(主位的主張)の宅地造成関係の金額六〇六一万二〇一五円と前記うの土地賃貸関係の金額一五万円とを加えた六二四九万八〇〇一円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記あの建築関係の金額一七三万五九八六円と前記い(予備的主張)の宅地造成関係の金額五八三七万六三三一円と前記うの土地賃貸関係の金額一五万円とを加えた六〇二六万二三一七円である。

イ 不動産所得の金額

原告の昭和五二年分所得税の不動産所得の金額は、収入金額一二二九万二一六六円から必要経費七七一万三三四七円を控除した四五七万八八一九円である。

ウ 利子所得の金額

原告の昭和五二年分所得税の利子所得の金額は、利子等の収入金額二一万四五〇〇円である。

エ 総所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の総所得金額は、前記ア(主位的主張)の事業所得の金額六二四九万八〇〇一円と前記イの不動産所得の金額四五七万八八一九円と前記ウの利子所得の金額二一万四五〇〇円とを加えた六七二九万一三二〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張)の事業所得の金額六〇二六万二三一七円と前記イの不動産所得の金額四五七万八八一九円と前記ウの利子所得の金額二一万四五〇〇円とを加えた六五〇五万五六三六円である。

(2) 分離課税の長期譲渡所得金額

ア 収入金額

あ 売買により生じた所得

原告は、相続等により取得した別表(八)2ないし17記載の売買をした各土地について、昭和五二年同別表記載の売買をし(売買代金は、「被告主張」欄記載のとおり)、売買代金合計七六八四万七〇〇〇円の収入を得た。なお、同別表の1記載の売買は、特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(租税特別措置法三七条)の場合に当たるから、譲渡所得に関してはその売買がなかったものとされる。

い 一平方メートル当たりの素地価額

原告は、前記あの売買をした各土地を含む別表(一〇)記載の土地について、相続等により取得した後に対価を得て継続的に行う意思をもって宅地造成したうえで右売買及び交換をした。

(主位的主張)

対価を得て継続的に行う意思をもって右宅地造成に着手した時期は昭和四五年一二月末ころであり、前記あの売買をした各土地の宅地造成の着手直前における一平方メートル当たりの価額は、二一四九円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、右宅地造成に着手した時期は昭和四六年一二月であり、前記あの売買をした各土地の右宅地造成の着手直前における一平方メートル当たりの価額は、二八〇九円である。

う 面積

前記あの売買をした各土地の宅地造成の着手直前における面積は、右売買をした各土地の面積合計三二二〇・四平方メートルである。

え 収入金額の計算

前記(1)アい(ア)(う)のとおり、前記あの売買をした各土地を含む右宅地等の譲渡に伴う所得のうち、宅地造成によって生じた利益に対応する部分は事業所得であり、その他の部分は譲渡所得に該当する。そして、前記1(一)(2)アえと同様に、右譲渡所得に係る収入金額は、右宅地造成の着手直前における当該土地の価額である。

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る収入金額は、前記あの売買による収入合計七六八四万七〇〇〇円のうち、前記い(主位的主張)の右売買をした各土地の一平方メートル当たり素地価額二一四九円に前記うの右各土地の面積合計三二二〇・四平方メートルを乗じた六九二万〇六四〇円(一円未満四捨五入)である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記あの売買による収入合計七六八四万七〇〇〇円のうち、前記い(予備的主張)の右売買をした各土地の一平方メートル当たり素地価額二八〇九円に前記うの右土地の面積合計三二二〇・四平方メートルを乗じた九〇四万六一〇四円(一円未満四捨五入)である。

イ 経費

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る経費は、前記ア(主位的主張)の同所得に係る収入金額六九二万〇六四〇円の一〇〇分の五に相当する概算取得費三四万六〇三二円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張)の同所得に係る収入金額九〇四万六一〇四円の一〇〇分の五に相当する概算取得費四五万二三〇五円(一円未満四捨五入)である。

ウ 分離課税の長期譲渡所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額は、前記ア(主位的主張)の収入金額六九二万〇六四〇円から前記イ(主位的主張)の経費三四万六〇三二円を控除した六五七万四六〇八円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張)の収入金額九〇四万六一〇四円から前記イ(予備的主張)の経費四五万二三〇五円を控除した八五九万三七九九円である。

(3) 総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額は、前記(1)(主位的主張)の総所得金額六七二九万一三二〇円と前記(2)(主位的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額六五七万四六〇八円とを加えた七三八六万五九二八円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(1)(予備的主張)の総所得金額六五〇五万五六三六円と前記(2)の分離課税の長期譲渡所得金額八五九万三七九九円とを加えた七三六四万九四三五円である。

(二) 本件賦課決定(三)

原告の昭和五二年分所得税に係る過少申告加算税の額は、一八三万四六〇〇円であり、かりにそうでないとしても一七七万六六〇〇円であるから、右金額の範囲内でされた本件賦課決定(三)に違法はない。

(1) 本件更正(二)

原告は、昭和五三年三月一五日、被告に対し、本件確定申告(二)を行った。しかし、被告は、昭和五四年三月一二日、右申告書に記載された課税標準等又は税額等が調査したところと異なるので、本件更正(二)を行った。

(2) 過少申告加算税の額

ア 納付すべき所得税の額

あ 総所得金額に係る所得税の額

(ア) 課税総所得金額

(あ) 総所得金額

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の総所得金額は、前記(一)(1)(主位的主張)のとおり六七二九万一三二〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(一)(1)(予備的主張)のとおり六五〇五万五六三六円である。

(い) 所得控除額

原告の昭和五二年分所得税に係る所得控除額は、一七四万五〇〇〇円である。

(う) 課税総所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の課税総所得金額は、前記(あ)(主位的主張)の総所得金額六七二九万一三二〇円から前記(い)の所得控除額一七四万五〇〇〇円を控除した六五五四万六〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨て)である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(あ)(予備的主張)の総所得金額六五〇五万五六三六円から前記(い)の所得控除額一七四万五〇〇〇円を控除した六三三一万円(一〇〇〇円未満切捨て)である。

(イ) 総所得金額に係る所得税の額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の総所得金額に係る所得税の額は、前記(ア)(主位的主張)の課税総所得金額六五五四万六〇〇〇円に一〇〇分の七〇を乗じた四五八八万二二〇〇円から一〇二四万円を控除した三五六四万二二〇〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張)の課税総所得金額六三三一万円に一〇〇分の七〇を乗じた四四三一万七〇〇〇円から一〇二四万円を控除した三四〇七万七〇〇〇円である。

い 分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額

(ア) 分離課税の課税長期譲渡所得金額

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の分離課税の課税長期譲渡所得金額は、前記(一)(2)(主位的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額六五七万四六〇八円の一〇〇〇円未満を切り捨てた六五七万四〇〇〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(一)(2)(予備的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額八五九万三七九九円の一〇〇〇円未満を切り捨てた八五九万三〇〇〇円である。

(イ) 分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額に係る所得税の額は、前記(ア)(主位的主張)の分離課税の課税長期譲渡所得金額六五七万四〇〇〇円に一〇〇分の二〇を乗じた一三一万四八〇〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張)の分離課税の課税長期譲渡所得金額八五九万三〇〇〇円に一〇〇分の二〇を乗じた一七一万八六〇〇円である。

う 所得税の額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の額は、前記あ(主位的主張)の総所得金額に係る所得税の額三五六四万二二〇〇円と前記い(主位的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額に係る所得税の額一三一万四八〇〇円とを加えた三六九五万七〇〇〇円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記あ(予備的主張)の総所得金額に係る所得税の額三四〇七万七〇〇〇円と前記い(予備的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額に係る所得税の額一七一万八六〇〇円とを加えた三五七九万五六〇〇円である。

イ 過少申告加算税の額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税に係る過少申告加算税の額は、前記ア(主位的主張)の納付すべき所得税の額三六九五万七〇〇〇円から前記(1)の本件確定申告(二)の所得税の額二六万三六〇〇円を控除した三六六九万三四〇〇円に、一〇〇分の五を乗じた一八三万四六〇〇円(一〇〇円未満切捨て)である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張)の納付すべき所得税の額三五七九万五六〇〇円から前記(1)の本件確定申告(二)の所得税の額二六万三六〇〇円を控除した三五五三万二〇〇〇円に、一〇〇分の五を乗じた一七七万六六〇〇円である。

四  被告の主張に対する認否及び原告の反論

(被告の主張に対する認否)

1 原告の昭和五〇年分所得税

(一) 本件決定

被告の主張1(原告の昭和五〇年分所得税)(一)(本件決定)の原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額が九五五万三六二二円ないし九五二万八〇一四円であるとの事実は否認し、本件決定が違法ではないとの主張は争う。

同1(一)のうち、(1)(総所得金額)ア(事業所得の金額)あ(建築関係の金額)、(1)アい(宅地造成関係の金額)(イ)(必要経費)(う)(譲渡費用)、(1)アう(土地賃貸関係の金額)及び(1)イ(不動産所得の金額)の各事実、原告が昭和五〇年別表(五)記載のとおり売買をしたこと(ただし、同別表2記載の売買代金を除く。)、右売買をした土地はいずれも原告が相続等により取得した山林の一部であること、原告が昭和四九年までに一三五六万三〇〇〇円を支出したこと、原告が宅地造成するために昭和五〇年から同五二年までに三八三二万七三二四円を支出したこと並びに右売買した各土地を含む右宅地等の譲渡に伴う所得のうち、宅地造成によって生じた利益に対応する部分が事業所得であり、その他の部分が譲渡所得に該当することはいずれも認める。

同1(一)のうち、(1)アい(ア)(収入金額)(い)(譲渡所得に係る収入金額)、(1)アい(イ)(あ)(取得費)、(2)(分離課税の長期譲渡所得金額)ア(収入金額)い(一平成メートル当たりの素地価額)、(2)イ(経費)、(2)ウ(分離課税の長期譲渡所得金額の計算)及び(3)(総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額)の各事実、原告が対価を得て継続的に行う意思をもって売買するために別表(一〇)記載の各土地を宅地造成したこと、原告が行った別表(五)2記載の売買の代金が三九二万円であること、原告が昭和五〇年別表(六)記載の交換をし、四〇二万二四七〇円の収入を得たこと、右収入金額四〇二万二四七〇円が、取得資産付近の売買実例から右取得資産の一平方メートル当たりの価額を一万八三一八円としこれに右取得資産の面積一六五平方メートルを乗じた右取得資産の価額三〇二万二四七〇円と、三宅陽一が原告に支払った差金一〇〇万円とを加えたものであること、原告が昭和五〇年別表(五)記載の売買及び別表(六)記載の交換によって合計一二六二万二四七〇円の収入を得たこと、原告が右売買をした各土地及び右交換をした土地を宅地造成するため二四七万七五二〇円を要したこと、原告が昭和四九年までに支出した一三五六万三〇〇〇円が造成経費であること、原告が造成費用合計五一八九万〇三二四円を支出したこと、宅地造成をした土地の面積が一万八二五三平方メートルであること、処分可能見込面積が一万七五二九・六九平方メートルであること、一平方メートル当たりの造成費用が二九六〇円であること、原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額が一〇九七万四八四八円ないし一〇四六万二六八六円であること、原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費が五八五万一七九三円であること、原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の金額が五一二万三〇五三円ないし四六一万〇八九三円であること、原告の昭和五〇年分所得税の事業所得の金額が七三一万九四六八円ないし六八〇万七三〇八円であること、原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額が七九六万九三七九円ないし七四五万七二一九円であること並びに原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る収入金額が一六六万七六二四円ないし二一七万九七八四円であることはいずれも否認する。

同1(一)のうち、原告が行った別表(五)記載の売買による収入を事業所得とする主張、事業所得に係る収入金額は宅地等の売買代金額から譲渡所得に係る収入金額を控除して求めるとの主張及び右譲渡所得に係る収入金額は宅地造成の着手直前における当該土地の価額であるとの主張はいずれも争う。

(二) 本件賦課決定(一)

同1(二)(本件賦課決定(一))の原告の昭和五〇年分所得税に係る無申告加算税の額が一三万九三〇〇円ないし一三万三九〇〇円であるとの事実は否認し、本件賦課決定(一)が違法ではないとの主張は争う。

同1(二)のうち、(1)(本件決定)、(2)(無申告加算税の額)ア(納付すべき所得税の額)あ(総所得金額に係る所得税の額)(ア)(課税総所得金額)(い)(所得控除額)、(2)アい(分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額)(ア)(分離課税の課税長期譲渡所得金額)(い)(特別控除額)の各事実はいずれも認める。

同1(二)のうち、(2)アあ(ア)(あ)(総所得金額)、(2)アあ(イ)(総所得金額に係る所得税の額の計算)、(2)アい(ア)(あ)(分離課税の長期譲渡所得金額)、(2)アい(イ)(分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額の計算)、(2)アう(所得税の額の計算)、(2)イ(無申告加算税の額の計算)の各事実、原告の昭和五〇年分所得税の課税総所得金額が六四五万七〇〇〇円ないし五九四万五〇〇〇円であること、原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の課税長期譲渡所得金額が五八万四〇〇〇円ないし一〇七万円であることはいずれも否認する。

2 原告の昭和五一年分所得税

(一) 本件更正(一)

被告の主張2(原告の昭和五一年分所得税)(一)(本件更正(一))の原告の昭和五一年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額が四一一四万五一六三円ないし四〇五六万六三七七円であるとの事実は否認し、本件更正(一)が違法ではないとの主張は争う。

同2(一)のうち、(1)(総所得金額)ア(事業所得の金額)あ(建築関係の金額)、(1)アい(宅地造成関係の金額)(イ)(必要経費)(う)(譲渡費用)、(1)アう(土地賃貸関係の金額)、(1)イ(不動産所得の金額)及び(1)ウ(利子所得の金額)の各事実、原告が昭和五一年別表(七)1ないし14記載のとおり売買したこと(ただし、同別表3ないし6、9ないし14記載の売買代金を除く。)、右売買した各土地はいずれも原告が相続等により取得した山林の一部であること、右売買した各土地を含む右宅地等の譲渡に伴う所得のうち、宅地造成によって生じた利益に対応する部分が事業所得であり、その他の部分が譲渡所得に該当すること並びに同別表1ないし3及び6記載の売買が特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(租税特別措置法三七条)の場合に当たるから、譲渡所得に関してはその売買がなかったものとされることはいずれも認める。

同2(一)のうち、(1)アい(ア)(収入金額)(い)(譲渡所得に係る収入金額)、(1)アい(イ)(い)(造成経費)、(2)(分離課税の長期譲渡所得金額)ア(収入金額)い(一平方メートル当たりの素地価額)、(2)イ(経費)、(2)ウ(分離課税の長期譲渡所得金額の計算)及び(3)(総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額)の各事実、原告が昭和五一年別表(七)15ないし17記載のとおり売買をしたこと、原告が行った同別表3ないし6、9ないし14記載の売買の代金が同別表「被告の主張」欄記載のとおりであること、原告が昭和五一年別表(七)記載のとおりした売買によって代金合計四八四九万円の収入を得たこと、原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額が四四九三万三四〇五円ないし四三八四万一一〇五円であること、原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費が八四六万一八八二円であること、原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の金額が三六四七万一五二三円ないし三五三七万九二二三円であること、原告の昭和五一年分所得税の事業所得の金額が三七六三万六一六八円ないし三六五四万三八六七円であること、原告の昭和五一年分所得税の総所得金額が三九四七万三一三四円ないし三八三八万〇八三四円であること並びに原告の昭和五一年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る収入金額が一七六万〇〇三一円ないし二三〇万〇五七一円であることはいずれも否認する。

同2(一)のうち、別表(七)の売買による収入のうち事業所得に係る収入金額は右売買代金額から譲渡所得に係る収入金額を控除して求めるとの主張、(1)アい(イ)(う)の譲渡費用を事業所得の必要経費とする主張、原告が行った別表(七)4及び5記載の売買による収入を分離課税の長期譲渡所得に係る収入とする主張及び右譲渡所得に係る収入金額は宅地造成の着手直前における当該土地の価額であるとの主張はいずれも争う。

(二) 本件賦課決定(二)

同2(二)(本件賦課決定(二))の原告の昭和五一年分所得税に係る過少申告加算税の額が八八万一三〇〇円ないし八五万三六〇〇円であるとの事実は否認し、本件賦課決定(二)が違法ではないとの主張は争う。

同2(二)のうち、(1)(本件更正(一))及び(2)(過少申告加算税の額)ア(納付すべき所得税の額)あ(総所得金額に係る所得税の額)(ア)(課税総所得金額)(い)(所得控除額)の各事実はいずれも認める。

同2(二)のうち、(2)アあ(ア)(あ)(総所得金額)、(2)アあ(イ)(総所得金額に係る所得税の額の計算)、(2)アい(分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額)、(2)アう(所得税の額の計算)及び(2)イ(過少申告加算税の額の計算)の各事実並びに原告の昭和五一年分所得税の課税総所得金額が三八〇〇万円ないし三六九〇万七〇〇〇円であることはいずれも否認する。

3 原告の昭和五二年分所得税

(一) 本件更正(二)

被告の主張3(原告の昭和五二年分所得税)(一)(本件更正(二))の原告の昭和五二年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額が七三八六万五九二八円ないし七三六四万九四三五円であるとの事実は否認し、本件更正(二)が違法ではないとの主張は争う。

同3(一)のうち、(1)(総所得金額)ア(事業所得の金額)あ(建築関係の金額)、(1)アい(宅地造成関係の金額)(イ)(必要経費)(い)(譲渡費用)、(1)アう(土地賃貸関係の金額)、(1)イ(不動産所得の金額)及び(1)ウ(利子所得の金額)の各事実、原告が昭和五二年別表(八)1ないし16記載のとおり売買をしたこと(ただし、同別表2、5、9、10、13、15、16記載の売買代金を除く。)、右売買した各土地はいずれも原告が相続等により取得した山林の一部であること、右売買した各土地を含む土地の譲渡に伴う所得のうち、宅地造成によって生じた利益に対応する部分が事業所得であり、その他の部分が譲渡所得に該当すること並びに同別表1記載の売買が特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(租税特別措置法三七条)の場合に当たるから、譲渡所得に関してはその売買がなかったものとされることはいずれも認める。

同3(一)のうち、(1)アい(ア)(収入金額)(い)(譲渡所得に係る収入金額)、(1)アい(イ)(あ)(造成経費)、(2)(分離課税の長期譲渡所得金額)ア(収入金額)い(一平方メートル当たりの素地価額)、(2)イ(経費)、(2)ウ(分離課税の長期譲渡所得金額の計算)及び(3)(総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額)の各事実、原告が昭和五二年別表(八)17記載のとおり売買を行ったこと、原告がした同別表2、5、9、10、13、15、16記載の売買の代金が同別表「被告の主張」欄記載のとおりであること、原告が昭和五二年別表(八)記載のとおりした売買によって代金合計八一六四万七〇〇〇円の収入を得たこと、原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額が七四三六万七四七七円ないし七二一三万一七九三円であること、原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費が一三七五万五四六二円であること、原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の金額が六〇六一万二〇一五円ないし五八三七万六三三一円であること、原告の昭和五二年分所得税の事業所得の金額が六二四九万八〇〇一円ないし六〇二六万二三一七円であること、原告の昭和五二年分所得税の総所得金額が六七二九万一三二〇円ないし六五〇五万五六三六円であること並びに原告の昭和五二年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る収入金額が六九二万〇六四〇円ないし九〇四万六一〇四円であることはいずれも否認する。

同3(一)のうち、別表(八)の売買による収入のうち事業所得に係る収入金額は右売買代金額から譲渡所得に係る収入金額を控除して求めるとの主張、(1)アい(イ)(い)の譲渡費用事業所得の必要経費とする主張、原告が行った別表(八)2ないし8記載の売買による収入を分離課税の長期譲渡所得に係る収入とする主張及び右譲渡所得に係る収入金額は宅地造成の着手直前における当該土地の価額であるとの主張はいずれも争う。

(二) 本件賦課決定(三)

同3(二)(本件賦課決定(三))の原告の昭和五二年分所得税に係る過少申告加算税の額が一八三万四六〇〇円ないし一七七万六六〇〇円であるとの事実は否認し、本件賦課決定(三)が違法ではないとの主張は争う。

同3(二)のうち、(1)(本件更正(二))及び(2)(過少申告加算税の額)ア(納付すべき所得税の額)あ(総所得金額に係る所得税の額)(ア)(課税総所得金額)(い)(所得控除額)の各事実はいずれも認める。

同3(二)のうち、(2)アあ(ア)(あ)(総所得金額)、(2)アあ(イ)(総所得金額に係る所得税の額の計算)、(2)アい(分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額)、(2)アう(所得税の額の計算)及び(2)イ(過少申告加算税の額の計算)の各事実並びに原告の昭和五二年分所得税の課税総所得金額が六五五四万六〇〇〇円ないし六三三一万円であることはいずれも否認する。

(原告の反論)

1 原告の昭和五〇年分所得税

(一) 総所得金額と長期譲渡所得金額との合計額

原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額と長期譲渡所得金額との合計額は、六五〇万三七六八円の損失であり、かりにそうでないとしても一九六万二〇二四円の損失である。

(1) 総所得金額

ア 事業所得の金額

あ 宅地造成関係の金額

原告は昭和五〇年に別表(五)記載の売買をした各土地の宅地造成に着手したのであり、この時点での宅地造成は小規模であって、別表(七)及び同(八)記載の売買をした各土地の宅地造成とは無関係でもあるから、右売買による収入は、譲渡所得に該当するのであって、事業所得には当たらない。したがって、原告の昭和五〇年分所得税の譲渡所得のうち宅地造成関係の金額はない。

い 事業所得の金額の計算

原告の昭和五〇年分所得税の事業所得の金額は、前記三1(一)(1)アあの建築関係の金額七五万六四一五円と前記三1(一)(1)アうの土地賃貸関係の金額一四四万円とを加えた二一九万六四一五円である。

イ 総所得金額の計算

原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額は、前記アの事業所得の金額二一九万六四一五円と前記三1(一)(1)イの不動産所得の金額六四万九九一一円とを加えた二八四万六三二六円である。

(2) 分離課税の長期譲渡所得金額

ア 収入金額

原告は、昭和五〇年分所得税の課税対象となる売買を別表(五)記載のとおり行い、七九〇万円の収入を得た。

イ 経費

あ 取得費

原告は、前記アの売買した土地を取得するため、右売買による収入金額七九〇万円の一〇〇分の五に相当する概算取得費三九万五〇〇〇円を要した。

い 造成経費

(主位的主張)

(ア) 直接造成経費

原告は、昭和五〇年、前記アの売買をした各土地を含む山林三八筆(六二四〇・三平方メートル)の進入路及び区画整理などの造成工事を行い、一三三一万六三一二円を支出した。

(イ) 間接造成経費

(あ) 一平方メートル当たりの間接造成経費

原告は、昭和四九年以前に、前記アの売買をした各土地を含む山林三八筆(六二四〇・三平方メートル)並びにその周辺の未造成土地及びアパート用地等の土地の土の取り除き並びにその支障となる神社及び墓地等の移転の補償及びその工事に一三五六万三〇〇〇円を支出した(間接造成経費)。ところで、右間接造成経費は、右土地全体に原価計算を行うべきものであり、その面積は、合計一万七五二九・六九平方メートルである。したがって、一平方メートル当たりの間接造成経費は、右間接造成経費一三五六万三〇〇〇円を右土地全体の面積一万七五二九・六九平方メートルで除した七七四円(一円未満四捨五入)である。

(い) 売買した土地の面積

前記アの売買した土地の面積は、合計五四三平方メートルである。

(う) 間接造成経費の計算

昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る経費のうち間接造成経費は、前記(あ)の一平方メートル当たりの間接造成経費七七四円に前記(い)の売買した土地の面積五四三平方メートルを乗じた四二万〇二八二円である。

(ウ) 造成経費の計算

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る経費のうち造成経費は、前記(ア)の直接造成経費一三三一万六三一二円と前記(イ)の間接造成経費四二万〇二八二円とを加えた一三七三万六五九四円である。

(予備的主張)

(ア) 直接工事費

前記アの売買をした各土地の宅地造成工事である土工事、コンクリート工事、型枠工事及びみだれ石積工事の費用を出来高により算定すると、三五一万一〇〇〇円となる。

(イ) 諸経費

前記(ア)の宅地造成工事の諸経費は、公式比率によると直接工事費三五一万一〇〇〇円の三五パーセントである一二二万八八五〇円となる。

(ウ) 附帯道路工事費

前記アの売買をした各土地の附帯道路工事の費用を出来高により算定すると、四四五万五〇〇〇円となる。

(エ) 造成経費の計算

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る経費のうち造成経費は、前記(ア)の直接工事費三五一万一〇〇〇円と前記(イ)の諸経費一二二万八八五〇円と前記(ウ)の附帯道路工事費用四四五万五〇〇〇円とを加えた九一九万四八五〇円である。

う 経費の計算

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る経費は、前記あの取得費三九万五〇〇〇円と前記い(主位的主張)の造成経費一三七三万六五九四円と前記三1(一)(1)アい(イ)(う)の譲渡費用三一一万八五〇〇円とを加えた一七二五万〇〇九四円である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記あの取得費三九万五〇〇〇円と前記い(予備的主張)の造成経費九一九万四八五〇円と前記三1(一)(1)アい(イ)(う)の譲渡費用三一一万八五〇〇円とを加えた一二七〇万八三五〇円である。

ウ 分離課税の長期譲渡所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額は、前記アの収入金額七九〇万円から前記イ(主位的主張)の経費一七二五万〇〇九四円を控除した九三五万〇〇九四円の損失である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記アの収入金額七九〇万円から前記イ(予備的主張)の経費一二七〇万八三五〇円を控除した四八〇万八三五〇円の損失である。

(3) 総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額

(主位的主張)

原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額は、前記(1)の総所得金額二八四万六三二六円から前記(2)(主位的主張)の分離課税の長期譲渡所得の損失九三五万〇〇九四円を控除した六五〇万三七六八円の損失である。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、前記(1)の総所得金額二八四万六三二六円から前記(2)(予備的主張)の分離課税の長期譲渡所得の損失四八〇万八三五〇円を控除した一九六万二〇二四円の損失である。

(二) 本件賦課決定(一)

原告の昭和五〇年分所得税に係る無申告加算税はない。なぜなら、前記(一)のとおり、総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額とを損益通算すると、六五〇万三七六八円ないし一九六万二〇二四円の損失となり、納付すべき所得税はないからである。

2 原告の昭和五一年分所得税

(一) 総所得金額と長期譲渡所得金額との合計額

原告の昭和五一年分所得税の総所得金額と長期譲渡所得金額との合計額は、二二九五万四二〇五円の損失であり、かりにそうでないとしても一〇一九万四六五六円の所得であり、二一二万一九〇五円の損失ないし二二五万九三四九円の損失である。

(1) 総所得金額

ア 事業所得の金額

あ 宅地造成関係の金額

(ア) 収入金額

(主位的主張及び予備的主張1)

(あ) 売買により生じた所得

原告は、昭和五一年分所得税の課税対象となる売買を別表(七)1ないし14記載のとおり行い、三九六二万円の収入を得た。

(い) 造成経費

(主位的主張)

原告が昭和五一年支出した直接造成経費は、後記(イ)(主位的主張及び予備的主張2)(あ)のとおり二一四九万九五〇六円である。

(予備的主張1)

原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費は、後記(イ)(予備的主張1及び同3)のとおり二一六三万六九五〇円である。

(う) 適正利益率

事業所得の収益を利益で除した適正利益率は、二七パーセントである。

(え) 収入金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額は、前記(あ)の売買による収入合計三九六二万円のうち、前記(い)(主位的主張)の直接造成経費一一三二万九四三四円を、一から前記(う)の適正利益率二七パーセントを控除した七三パーセントで除した一五五一万九七七二円(一円未満切捨て)である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記(あ)の売買による収入合計三九六二万円のうち、前記(い)(予備的主張1)の直接造成経費二一六三万六九五〇円を右七三パーセントで除した二九六三万九六五七円(一円未満切捨て)である。

(予備的主張2及び同3)

(あ) 売買により生じた所得

前記(主位的主張及び予備的主張1)(あ)と同じである。

(い) 譲渡所得に係る収入金額

前記(あ)の売買による収入のうち譲渡所得に係る収入金額は、後記(2)ア(予備的主張2及び同3)のとおり二三二一万五七一〇円である。

(う) 収入金額の計算

かりに被告の主張のとおり前記(あ)の売買した各土地を含む原告が相続等により取得して宅地造成した山林三八筆(六二四〇・三平方メートル)の土地の譲渡に伴う所得のうち、事業所得に係る収入金額は右土地の売買代金額から譲渡所得に係る収入金額を控除して求めるとすると、原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額は、前記(あ)の売買による収入合計三九六二万円から前記(い)の譲渡所得に係る収入金額二三二一万五七一〇円を控除した一六四〇万四二九〇円となる。

(イ) 必要経費

(主位的主張及び予備的主張2)

(あ) 直接造成経費

原告は、昭和五一年、前記(ア)(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各(あ)の売買をした各土地を含む山林三八筆(六二四〇・三平方メートル)の進入路及び区画整理などの造成工事を行い、一一三二万九四三四円(直接造成経費)を支出した。

(い) 間接造成経費

前記1(一)(2)イい(イ)(あ)のとおり、原告が昭和四九年以前に前記(ア)(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各(あ)の売買をした各土地を含む山林三八筆(六二四〇・三平方メートル)並びにその周辺の未造成土地及びアパート用地等の土地の土の取り除き並びにその支障となる神社及び墓地等の移転の補償及びその工事に支出した一平方メートル当たりの間接造成経費は、七七四円である。そして、右売買した各土地の面積は、合計一六六六平方メートルである。したがって、原告は、昭和五一年右各土地の間接造成経費として、右一平方メートル当たりの間接造成経費七七四円に右各土地の面積一六六六平方メートルを乗じた一二八万九四八四円を支出した。

(う) 補完工事費

原告は、川之江市が前記(ア)(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各(あ)の売買をした各土地及び後記3(一)(1)アあ(ア)(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各(あ)の売買をした各土地についての排水を拒否したので、昭和五三年に排水管の新設、道路の拡幅及び山留工事等の補完工事を行い、その工事に五〇〇〇万円を支出した。右補完工事費のうち二五〇〇万円は昭和五一年分所得税及び昭和五二年分所得税の各事業所得のうち宅地造成関係の必要経費として算入すべきである。そこで、右二五〇〇万円を昭和五一年分所得税及び昭和五二年分所得税の課税対象となる右各売買をした土地の面積に応じて按分すると、昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費の宅地造成の補完工事費は八八八万〇五八八円となる。

(え) 必要経費の計算

原告の昭和五一年分所得税のうち宅地造成関係の必要経費は、前記(あ)の直接造成経費一一三二万九四三四円に前記(い)の間接造成経費一二八万九四八四円と前記(う)の補完工事費八八八万〇五八八円とを加えた二一四九万九五〇六円である。

(予備的主張1及び同3)

(あ) 直接工事費

前記(ア)(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各(あ)の売買をした各土地の宅地造成工事である土工事、コンクリート工事、型枠工事及びみだれ石積工事の費用を出来高により算定すると、一一一五万七〇〇〇円となる。

(い) 諸経費

前記(あ)の宅地造成工事の諸経費は、公式比率によると直接工事費一一一五万七〇〇〇円の三五パーセントである三九〇万四九五〇円となる。

(う) 附帯道路工事費

前記(ア)(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各(あ)の売買した各土地の附帯道路工事の費用を出来高により算定すると、六五七万五〇〇〇円となる。

(え) 必要経費の計算

原告の昭和五一年分所得税のうち宅地造成関係の必要経費は、前記(あ)の直接工事費一一一五万七〇〇〇円と前記(い)の諸経費三九〇万四九五〇円と前記(う)の附帯道路工事費用六五七万五〇〇〇円とを加えた二一六三万六九五〇円である。

(ウ) 宅地造成関係の金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の金額は、前記(ア)(主位的主張)の収入金額一五五一万九七七二円から前記(イ)(主位的主張及び予備的主張2)の必要経費二一四九万九五〇六円を控除した五九七万九七三四円の損失である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張1)の収入金額二九六三万九六五七円から前記(イ)(予備的主張1及び同3)の必要経費二一六三万六九五〇円を控除した八〇〇万二七〇七円である。

(予備的主張2)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張2及び同3)の収入金額一六四〇万四二九〇円から前記(イ)(主位的主張及び予備的主張2)の必要経費二一四九万九五〇六円を控除した五〇九万五二一六円の損失である。

(予備的主張3)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張2及び同3)の収入金額一六四〇万四二九〇円から前記(イ)(予備的主張1及び同3)の必要経費二一六三万六九五〇円を控除した五二三万二六六〇円の損失である。

い 事業所得の金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の事業所得の金額は、前記三2(一)(1)アあの建築関係の金額二〇万四六四五円と前記三2(一)(1)アうの土地賃貸関係の金額九六万円とを加えたものから前記あ(主位的主張)の宅地造成関係の損失五九七万九七三四円を控除した四八一万五〇八九円の損失である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記あ(予備的主張1)の宅地造成関係の金額八〇〇万二七〇七円と前記三2(一)(1)アあの建築関係の金額二〇万四六四五円と前記三2(一)(1)アうの土地賃貸関係の金額九六万円とを加えた九一六万七三五二円である。

(予備的主張2)

かりにそうでないとしても、前記三2(一)(1)アあの建築関係の金額二〇万四六四五円と前記三2(一)(1)アうの土地賃貸関係の金額九六万円とを加えたものから前記あ(予備的主張2)の宅地造成関係の損失五〇九万五二一六円を控除した三九三万〇五七一円の損失である。

(予備的主張3)

かりにそうでないとしても、前記三2(一)(1)アあの建築関係の金額二〇万四六四五円と前記三2(一)(1)アうの土地賃貸関係の金額九六万円とを加えたものから前記あ(予備的主張3)の宅地造成関係の損失五二三万二六六〇円を控除した四〇六万八〇一五円の損失である。

イ 総所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の総所得金額は、前記三2(一)(1)イの不動産所得の金額一六七万二二六六円と前記三2(一)(1)ウの利子所得の金額一六万四七〇〇円とを加えたものから前記ア(主位的主張)の事業所得の損失四八一万五〇八九円を控除した二九七万八一二三円の損失である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張1)の事業所得の金額九一六万七三五二円と前記三2(一)(1)イの不動産所得の金額一六七万二二六六円と前記三2(一)(1)ウの利子所得の金額一六万四七〇〇円とを加えた一一〇〇万四三一八円である。

(予備的主張2)

かりにそうでないとしても、前記三2(一)(1)イの不動産所得の金額一六七万二二六六円と前記三2(一)(1)ウの利子所得の金額一六万四七〇〇円とを加えたものから前記ア(予備的主張2)の事業所得の損失三九三万〇五七一円を控除した二〇九万三六〇五円の損失である。

(予備的主張3)

かりにそうでないとしても、前記三2(一)(1)イの不動産所得の金額一六七万二二六六円と前記三2(一)(1)ウの利子所得の金額一六万四七〇〇円とを加えたものから前記ア(予備的主張3)の事業所得の損失四〇六万八〇一五円を控除した二二三万一〇四九円の損失である。

(2) 分離課税の長期譲渡所得金額

ア 収入金額

(主位的主張及び予備的主張1)

あ 売買

(1)アあ(ア)(主位的主張及び予備的主張1)(あ)と同じである。

い 事業所得の収入金額

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額は、前記(1)アあ(ア)(主位的主張)のとおり一五五一万九七七二円である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記(1)アあ(ア)(予備的主張1)のとおり二九六三万九六五七円である。

う 収入金額の計算

前記あの売買した各土地を含む原告が相続等により取得して宅地造成した山林三八筆(六二四〇・三平方メートル)の土地の譲渡に伴う所得のうち、譲渡所得は、所得税基本通達三三の五によれば、右譲渡に伴う所得から事業所得を控除して求めるべきである。

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の分離課税の長期譲渡所得の総収入金額は、前記あの売買による収入合計三九六二万円から前記い(主位的主張)の事業所得の収入金額一五五一万九七七二円を控除した二四一〇万〇二二八円である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記あの売買による収入合計三九六二万円から前記い(予備的主張1)の事業所得の収入金額二九六三万九六五七円を控除した九九八万〇三四三円である。

(予備的主張2及び3)

あ 売買

前記(1)アあ(ア)(主位的主張及び予備的主張1)(あ)と同じである。

い 一平方メートル当たりの素地価額

前記あの売買した各土地の宅地造成の直前における一平方メートル当たりの価額は、一万三九三五円である。

う 面積

前記あの売買した各土地の面積は、合計一六六六平方メートルである。

え 収入金額の計算

前記(1)アあ(ア)(予備的主張2及び同3)(う)と同様に、かりに被告の主張のとおり前記あの売買した各土地を含む原告が相続等により取得して宅地額は、前記あの右特例の適用される売買代金額を前記ア(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各あの売買代金額で除したものに、アの収入金額を乗じたものである。

(主位的主張)

前記あの右特例の適用される売買代金額三五三〇万円を前記ア(主位的主張及び予備的主張1)あの売買代金額三九六二万円で除したものに、ア(主位的主張)の収入金額二四一〇万〇二二八円を乗じた二一四七万二四三九円(一円未満四捨五入)である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記あの右特例の適用される売買代金額三五三〇万円を前記ア(主位的主張及び予備的主張1)あの売買代金額三九六二万円で除したものに、ア(予備的主張1)の収入金額九九八万〇三四三円を乗じた八八九万二一二八円(一円未満四捨五入)である。

(予備的主張2及び同3)

かりにそうでないとしても、前記あの右特例の適用される売買代金額三五三〇万円を前記ア(予備的主張2及び同3)あの売買代金額三九六二万円で除したものに、ア(予備的主張2及び同3)の収入金額二三二一万五七一〇円を乗じた二〇六八万四三六五円(一円未満切捨て)である。

ウ 経費

あ 取得費

(主位的主張)

原告は、前記ア(主位的主張及び予備的主張1)あの売買した土地を取得するため、前記ア(主位的主張)の収入金額二四一〇万〇二二八円の一〇〇分の五に相当する概算取得費一二〇万五〇一一円(一円未満切捨て)を要した。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張1)の収入金額九九八万〇三四三円の一〇〇分の五に相当する概算取得費四九万九〇一七円(一円未満切捨て)を要した。

(予備的主張2及び同3)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張2及び同3)の収入金額二三二一万五七一〇円の一〇〇分の五に相当する概算取得費一一六万〇七八五円(一円未満切捨て)を要した。

い 譲渡費用

原告は、前記ア(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各あの売買のため、前記三2(一)(1)アい(イ)(う)のとおり、仲介手数料一三九万八八六〇円を要した。右譲渡費用は、事業所得の必要経費ではなく、譲渡所得の経費とすべきである。

う 経費の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る経費は、前記あ(主位的主張)の取得費一二〇万五〇一一円と前記いの譲渡費用一三九万八八六〇円とを加えた二六〇万三八七一円である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記あ(予備的主張1)の取得費四九万九〇一七円と前記いの譲渡費用一三九万八八六〇円とを加えた一八九万七八七七円である。

(予備的主張2及び同3)

かりにそうでないとしても、前記あ(予備的主張2及び同3)の取得費一一六万〇七八五円と前記いの譲渡費用一三九万八八六〇円とを加えた二五五万九六四五円である。

エ 分離課税の長期譲渡所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額は、前記ア(主位的主張)の収入金額二四一〇万〇二二八円から前記イ(主位的主張)の特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の適用される金額二一四七万二四三九円とウ(主位的主張)の経費二六〇万三八七一円とを控除した二万三九一八円である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張1)の収入金額九九八万〇三四三円から前記イ(予備的主張1)の特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の適用される金額八八九万二一二八円とウ(予備的主張1)の経費一八九万七八七七円とを控除した八〇万九六六二円の損失である。

(予備的主張2及び同3)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張2及び同3)の収入金額二三二一万五七一〇円から前記イ(予備的主張2及び同3)の特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の適用される金額二〇六八万四三六五円とウ(予備的主張2及び同3)の経費二五五万九六四五円とを控除した二万八三〇〇円の損失である。

(3) 総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額

(主位的主張)

原告の昭和五一年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額は、前記(2)(主位的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額二万三九一八円から前記(1)(主位的主張)の総所得金額の損失二九七万八一二三円を控除した二九五万四二〇五円の損失である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記(1)(予備的主張1)の総所得金額一一〇〇万四三一八円から前記(2)(予備的主張1)の分離課税の長期譲渡所得の損失八〇万九六六二円を控除した一〇一九万四六五六円である。

(予備的主張2)

かりにそうでないとしても、前記(1)(予備的主張2)の総所得金額の損失二〇九万三六〇五円と前記(2)(予備的主張2及び同3)の分離課税の長期譲渡所得の損失二万八三〇〇円とを加えた二一二万一九〇五円の損失である。

(予備的主張3)

かりにそうでないとしても、前記(1)(予備的主張3)の総所得金額の損失二二三万一〇四九円と前記(2)(予備的主張2及び同3)の分離課税の長期譲渡所得の損失二万八三〇〇円とを加えた二二五万九三四九円の損失である。

(二) 本件賦課決定(二)

原告の昭和五一年分所得税に係る過少申告加算税はない。なぜなら、前記(一)のとおり、総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額とを損益通算すると、二九五万四二〇五円、二一二万一九〇五円ないし二二五万九三四九円の損失となり、納付すべき所得税はないからである。かりにそうでないとしても、分離課税の長期譲渡所得金額が一〇一九万四六五六円となるに過ぎないので、本件賦課決定(二)の過少申告加算税の額のうち、これを超える部分は取り消されるべきである。

3 原告の昭和五二年分所得税

(一) 総所得金額と長期譲渡所得金額との合計額

原告の昭和五二年分所得税の総所得金額と長期譲渡所得金額との合計額は、七六一万〇九〇八円であり、かりにそうでないとしても二三七九万一五〇九円、五三二万七二三二円ないし一六二万八五八四円である。

(1) 総所得金額

ア 事業所得の金額

あ 宅地造成関係

(ア) 収入金額

(主位的主張及び予備的主張1)

(あ) 売買

原告は、昭和五二年分所得税の課税対象となる売買を別表(八)1ないし16記載のとおり行い、六七九六万円の収入を得た。

(い) 造成経費

(主位的主張)

原告が昭和五二年支出した直接造成経費は、後記(イ)(主位的主張及び予備的主張2)(あ)のとおり一三六八万一五七八円である。

(予備的主張1)

原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費は、後記(イ)(予備的主張1及び同3)のとおり三五八四万三三〇〇円である。

(う) 適正利益率

事業所得の利益を収益で除した適正利益率は、二七パーセントである。

(え) 収入金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額は、前記(あ)の売買による収入合計六七九六万円のうち、前記(い)(主位的主張)の直接造成経費一三六八万一五七八円を、一から前記(う)の適正利益率二七パーセントを控除した七三パーセントで除した一八七四万一八八七円(一円未満切捨て)である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記(あ)の売買による収入合計六七九六万円のうち、前記(い)(予備的主張1)の直接造成経費三五八四万三三〇〇円を右七三パーセントで除した四九一〇万〇四一〇円(一円未満切捨て)である。

(予備的主張2及び同3)

(あ) 売買

前記(主位的主張及び予備的主張1)(あ)と同じである。

(い) 譲渡所得に係る収入金額

前記(あ)の売買による収入のうち譲渡所得に係る収入金額は、後記(2)ア(予備的主張2及び同3)のとおり四二一九万五一八〇円である。

(う) 収入金額の計算

前記2(一)(1)アあ(ア)(予備的主張2及び同3)(う)と同様に、かりに被告の主張のとおり前記(あ)の売買した各土地を含む原告が相続等により取得して宅地造成した山林三八筆(六二四〇・三平方メートル)の土地の譲渡に伴う所得のうち、事業所得に係る収入金額は右土地の売買代金額から譲渡所得に係る収入金額を控除して求めるとすると、原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額は、前記(あ)の売買による収入合計六七九六万円から前記(い)の譲渡所得に係る収入金額四二一九万五一八〇円を控除した二五七六万四八二〇円となる。

(イ) 必要経費

(主位的主張及び予備的主張2)

(あ) 直接造成経費

原告は、昭和五二年、前記(ア)(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各(あ)の売買した各土地を含む山林三八筆(六二四〇・三平方メートル)の進入路及び区画整理などの造成工事を行い、一三六八万一五七八円を支出した。

(い) 間接造成経費

前記1(一)(2)イい(イ)(あ)のとおり、原告が昭和四九年以前に前記(ア)(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各(あ)の売買した各土地を含む山林三八筆(六二四〇・三平方メートル)並びにその周辺の未造成土地及びアパート用地等の土地の土の取り除き並びにその支障となる神社及び墓地等の移転の補償及びその工事に支出した一平方メートル当たりの間接造成経費は、七七四円である。そして、右売買した各土地の面積は、合計三〇二八平方メートルである。したがって、原告は、昭和五二年右各土地の間接造成経費として、右一平方メートル当たりの間接造成経費七七四円に右各土地の面積三〇二八平方メートルを乗じた二三四万三六七二円を支出した。

(う) 補完工事費

前記2(一)(1)アあ(イ)(主位的主張及び予備的主張2)(う)記載のとおり、原告が、昭和五三年に前記(ア)(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各(あ)の売買した各土地及び前記2(一)(1)アあ(ア)(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各(あ)の売買した各土地について行った補完工事に支出した五〇〇〇万円のうち二五〇〇万円は、昭和五一年分所得税及び同五二年分所得税の各事業所得のうち宅地造成関係の必要経費として算入すべきである。そこで、右二五〇〇万円を昭和五一年分所得税及び同五二年分所得税の課税対象となる右各売買した土地の面積に応じて按分すると、昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費の宅地造成の補完工事費は一六一一万九四〇二円となる。

(え) 必要経費の計算

原告の昭和五二年分所得税のうち宅地造成関係の必要経費は、前記(あ)の直接造成経費一三六八万一五七八円に前記(い)の間接造成経費二三四万三六七二円と前記(う)の補完工事費一六一一万九四〇二円とを加えた三二一四万四六五二円である。

(予備的主張1及び同3)

(あ) 直接工事費

前記(ア)(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各(あ)の売買した各土地の宅地造成工事である土工事、コンクリート工事、型枠工事及びみだれ石積工事の費用を出来高により算定すると、一九八三万八〇〇〇円となる。

(い) 諸経費

前記(あ)の宅地造成工事の諸経費は、公式比率によると直接工事費一九八三万八〇〇〇円の三五パーセントである六九四万三三〇〇円となる。

(う) 附帯道路工事費

前記(ア)(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各(あ)の売買した各土地の附帯道路工事の費用を出来高により算定すると、九〇六万二〇〇〇円となる。

(え) 必要経費の計算

原告の昭和五二年分所得税のうち宅地造成関係の必要経費は、前記(あ)の直接工事費一九八三万八〇〇〇円と前記(い)の諸経費六九四万三三〇〇円と前記(う)の附帯道路工事費用九〇六万二〇〇〇円とを加えた三五八四万三三〇〇円である。

(ウ) 宅地造成関係の金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の金額は、前記(ア)(主位的主張)の収入金額一八七四万一八八七円から前記(イ)(主位的主張及び予備的主張2)の必要経費三二一四万四六五二円を控除した一三四〇万二七六五円の損失である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張1)の収入金額四九一〇万〇四一〇円から前記(イ)(予備的主張1及び同2)の必要経費三五八四万三三〇〇円を控除した一三二五万七一一〇円である。

(予備的主張2)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張2及び同3)の収入金額二五七六万四八二〇円から前記(イ)(主位的主張及び予備的主張2)の必要経費三二一四万四六五二円を控除した六三七万九八三二円の損失である。

(予備的主張3)

かりにそうでないとしても、前記(ア)(予備的主張2及び同3)の収入金額二五七六万四八二〇円から前記(イ)(予備的主張1及び同3)の必要経費三五八四万三三〇〇円を控除した一〇〇七万八四八〇円の損失である。

い 事業所得の金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の事業所得の金額は、前記三3(一)(1)アあの建築関係の金額一七三万五九八六円と前記三3(一)(1)アうの土地賃貸関係の金額一五万円とを加えたものから前記あ(主位的主張)の宅地造成関係の損失一三四〇万二七六五円を控除した一一五一万六七七九円の損失である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記あ(予備的主張1)の宅地造成関係の金額一三二五万七一一〇円と前記三3(一)(1)アあの建築関係の金額一七三万五九八六円と前記三3(一)(1)アうの土地賃貸関係の金額一五万円とを加えた一五一四万三〇九六円である。

(予備的主張2)

かりにそうでないとしても、前記三3(一)(1)アあの建築関係の金額一七三万五九八六円と前記三3(一)(1)アうの土地賃貸関係の金額一五万円とを加えたものから前記あ(予備的主張2)の宅地造成関係の損失六三七万九八三二円を控除した四四九万三八四六円の損失である。

(予備的主張3)

かりにそうでないとしても、前記三3(一)(1)アあの建築関係の金額一七三万五九八六円と前記三3(一)(1)アうの土地賃貸関係の金額一五万円とを加えたものから前記あ(予備的主張3)の宅地造成関係の損失一〇〇七万八四八〇円を控除した八一九万二四九四円の損失である。

イ 総所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の総所得金額は、前記三3(一)(1)イの不動産所得の金額四五七万八八一九円と前記三3(一)(1)ウの利子所得の金額二一万四五〇〇円とを加えたものから前記ア(主位的主張)の事業所得の損失一一五一万六七七九円を控除した六七二万三四六〇円の損失である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張1)の事業所得の金額一五一四万三〇九六円と前記三3(一)(1)イの不動産所得の金額四五七万八八一九円と前記三3(一)(1)ウの利子所得の金額二一万四五〇〇円とを加えた一九九三万六四一五円である。

(予備的主張2)

かりにそうでないとしても、前記三3(一)(1)イの不動産所得の金額四五七万八八一九円と前記三3(一)(1)ウの利子所得の金額二一万四五〇〇円とを加えたものから前記ア(予備的主張2)の事業所得の損失四四九万三八四六円を控除した二九万九四七三円である。

(予備的主張3)

かりにそうでないとしても、前記三3(一)(1)イの不動産所得の金額四五七万八八一九円と前記三3(一)(1)ウの利子所得の金額二一万四五〇〇円とを加えたものから前記ア(予備的主張3)の事業所得の損失八一九万二四九四円を控除した三三九万九一七五円の損失である。

(2) 分離課税の長期譲渡所得金額

ア 収入金額

(主位的主張及び予備的主張1)

あ 売買

前記(1)アあ(ア)(主位的主張及び予備的主張1)(あ)と同じである。

い 事業所得の収入金額

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額は、前記(1)アあ(ア)(主位的主張)のとおり一八七四万一八八七円である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記(1)アあ(ア)(予備的主張1)のとおり四九一〇万〇四一〇円である。

う 収入金額の計算

前記2(一)(2)アうと同様に、前記あの売買した各土地を含む原告が相続等により取得して宅地造成した山林三八筆(六二四〇・三平方メートル)の土地の譲渡に伴う所得のうち、譲渡所得は、所得税基本通達三三の五によれば、右譲渡に伴う所得から事業所得を控除して求めるべきである。

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の分離課税の長期譲渡所得の総収入金額は、前記あの売買による収入合計六七九六万円から前記い(主位的主張)の事業所得の収入金額一八七四万一八八七円を控除した四九二一万八一一三円である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記あの売買による収入合計六七九六万円から前記い(予備的主張1)の事業所得の収入金額四九一〇万〇四一〇円を控除した一八七四万一八八七円である。

(予備的主張2及び同3)

あ 売買

前記(1)アあ(ア)(主位的主張及び予備的主張1)(あ)と同じである。

い 一平方メートル当たりの素地価額

前記あの売買した各土地の宅地造成の直前における一平方メートル当たりの価額は、一万三九三五円である。

う 面積

前記あの売買した各土地の面積は、合計三〇二八平方メートルである。

え 収入金額の計算

前記(1)アあ(ア)(予備的主張2及び同3)(う)と同様に、かりに被告の主張のとおり前記あの売買した各土地を含む原告が相続等により取得して宅地造成した山林三八筆(六二四〇・三平方メートル)の土地の譲渡に伴う所得のうち、譲渡所得に係る収入金額が右土地の売買代金額から事業所得に係る収入金額を控除して求めるべきではないとすると、原告の昭和五二年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る収入金額は、前記あの売買による収入金額六七九六万円のうち、前記いの右売買した各土地の一平方メートル当たりの素地価額一万三九三五円に前記うの右各土地の面積三〇二八平方メートルを乗じた四二一九万五一八〇円である。

イ 特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例

あ 特例の適用される売買

原告は、租税特別措置法三七条が適用される売買を別表(八)の1ないし8のとおり行い(売買代金額は原告主張欄記載のとおりである。)、右売買代金額は合計四〇七四万円である。右売買については、租税特別措置法三七条が適用され、譲渡所得の計算においては売買がなかったものとみなされる。

い 特例の適用される金額の計算

前記アの原告の昭和五二年分所得税の長期譲渡所得に係る収入金額のうち特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の適用される金額は、前記あの右特例の適用される売買代金額を前記ア(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各あの売買代金額で除したものに、アの収入金額を乗じたものである。

(主位的主張)

前記(ア)の右特例の適用される売買代金額四〇七四万円を前記ア(主位的主張及び予備的主張1)あの売買代金額六七九六万円で除したものに、ア(主位的主張)の収入金額四九二一万八一一三円を乗じた二九五〇万四七九五円(一円未満切捨て)である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記あの右特例の適用される売買代金額四〇七四万円を前記ア(主位的主張及び予備的主張1)あの売買代金額六七九六万円で除したものに、ア(予備的主張1)の収入金額一八七四万一八八七円を乗じた一一二三万五二〇四円(一円未満切捨て)である。

(予備的主張2及び同3)

かりにそうでないとしても、前記あの右特例の適用される売買代金額四〇七四万円を前記ア(予備的主張2及び同3)あの売買代金額六七九六万円で除したものに、ア(予備的主張2及び同3)の収入金額四二一九万五一八〇円を乗じた二五二九万四七五六円(一円未満切捨て)である。

ウ 経費

あ 取得費

(主位的主張)

原告は、前記ア(主位的主張及び予備的主張1)あの売買した土地を取得するため、前記ア(主位的主張)の収入金額四九二一万八一一三円の一〇〇分の五に相当する概算取得費二四六万〇九〇五円(一円未満切捨て)を要した。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張1)の収入金額一八七四万一八八七円の一〇〇分の五に相当する概算取得費九三万七〇九四円(一円未満切捨て)を要した。

(予備的主張2及び同3)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張2及び同3)の収入金額四二一九万五一八〇円の一〇〇分の五に相当する概算取得費二一〇万九七五九円を要した。

い 譲渡費用

原告は、前記ア(主位的主張及び予備的主張1)及び(予備的主張2及び同3)各あの売買をするため、前記三3(一)(1)アい(イ)(い)のとおり、仲介手数料二九一万八〇〇〇円を要した。右譲渡費用は、事業所得の必要経費ではなく、譲渡所得の経費とすべきである。

う 経費の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る経費は、前記あ(主位的主張)の取得費二四六万〇九〇五円と前記いの譲渡費用二九一万八〇〇〇円とを加えた五三七万八九〇五円である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記あ(予備的主張1)の取得費九三万七〇九四円と前記いの譲渡費用二九一万八〇〇〇円とを加えた三八五万五〇九四円である。

(予備的主張2及び同3)

かりにそうでないとしても、前記あ(予備的主張2及び同3)の取得費二一〇万九七五九円と前記いの譲渡費用二九一万八〇〇〇円とを加えた五〇二万七七五九円である。

エ 分離課税の長期譲渡所得金額の計算

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額は、前記ア(主位的主張)の収入金額四九二一万八一一三円から前記イ(主位的主張)の特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の適用される金額二九五〇万四七九五円とウ(主位的主張)の経費五三七万八九〇五円とを控除した一四三三万四三六八円である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張1)の収入金額一八七四万一八八七円から前記イ(予備的主張1)の特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の適用される金額一一二三万五二〇四円とウ(予備的主張1)の経費三八五万五〇九四円とを控除した三六五万一五八九円の損失である。

(予備的主張2及び同3)

かりにそうでないとしても、前記ア(予備的主張2及び同3)の収入金額四二一九万五一八〇円から前記イ(予備的主張2及び同3)の特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の適用される金額二五二九万四七五六円とウ(予備的主張2及び同3)の経費五〇二万七七五九円とを控除した一一八七万二六六五円の損失である。

(3) 総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額

(主位的主張)

原告の昭和五二年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額との合計額は、前記(2)(主位的主張)の分離課税の長期譲渡所得金額一四三三万四三六八円から前記(1)(主位的主張)の総所得金額の損失六七二万三四六〇円を控除した七六一万〇九〇八円である。

(予備的主張1)

かりにそうでないとしても、前記(1)(予備的主張1)の総所得金額一九九三万六四一五円と前記(2)(予備的主張1)の分離課税の長期譲渡所得金額三八五万五〇九四円とを加えた二三七九万一五〇九円である。

(予備的主張2)

かりにそうでないとしても、前記(1)(予備的主張2)の総所得金額二九万九四七三円と前記(2)(予備的主張2及び同3)の分離課税の長期譲渡所得金額五〇二万七七五九円とを加えた五三二万七二三二円である。

(予備的主張3)

かりにそうでないとしても、前記(2)(予備的主張2及び同3)の分離課税の長期譲渡所得金額五〇二万七七五九円から前記(1)(予備的主張3)の総所得金額の損失三三九万九一七五円を控除した一六二万八五八四円である。

(二) 本件賦課決定(二)

原告の昭和五二年分所得税の総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額とを損益通算すると、分離課税の長期譲渡所得金額が二三七九万一五〇九円となるに過ぎないので、本件賦課決定(二)の過少申告加算税の額のうち、これを超える部分は取り消されるべきである。かりにそうでないとしても、課税総所得金額一八二一万一〇〇〇円と分離課税の長期譲渡所得金額三八五万五〇九四円であり、あるいは総所得金額と分離課税の長期譲渡所得金額とを損益通算すると、分離課税の長期譲渡所得金額が五三二万七二三二円ないし一六二万八五八四円となるに過ぎないので、本件賦課決定(二)の過少申告加算税の額のうち、これらを超える部分は取り消されるべきである。

五  被告の再反論

1  宅地造成の着手時期と事業性

(一) 宅地造成の着手時期

(主位的主張)

原告が昭和四五年一二月末ころから対価を得て継続的に行う意思をもって売買をするために別表(一〇)記載の土地の宅地造成に着手したことは、以下の事実から明らかである。

(1) 原告は、昭和四三年一一月一日には、未だ宅地造成に着手していない。

(2) 大西産業有限会社は、昭和四五年二月ころから、原告の承諾のもとに別表(一〇)記載の土地から大量の土砂の採取を行っていた。

(3) 原告は、昭和四五年一二月末、石川譲外一名との間で、別表(一〇)記載の土地で当時未造成であった土地について、宅地造成工事を完了のうえ引き渡すことを条件にして売買契約を締結しており、また、そのころ別表(一〇)記載の土地のうち最も早く宅地造成工事に着手した地域で宅地造成工事が行われている。

(予備的主張)

かりにそうでないとしても、原告は昭和四六年一二月にはほぼ現況になったと主張しているので、遅くとも同四六年一二月までに区画形質の変更に着手していたというべきである。

(二) 宅地造成の事業性

所得税法上の事業所得を生ずべき事業とは、社会通念上事業と認められるものであり、要するに営利性と継続性のほかに事業としての社会的客観性を有するものと解され(同法二七条、同法施行令六三条一二号を参照)、ある土地の譲渡に伴う所得が事業所得に当たるかどうかは、譲渡人の既往の土地の所得、保有、譲渡の各状況の諸事情を資料として判断するものと解されるところ、原告が別表(一〇)記載の土地を昭和四五年一二月末ころないし同四六年一二月から対価を得て継続的に行う意思を以て宅地を造成して売買するという事業を行ってきていることは、以下の事実から明らかである。したがって、昭和五〇年分所得税の課税対象となる別表(五)記載の売買及び同(六)記載の交換は、事業の一環としてされたものであるから、それに伴う所得は事業所得に当たるというべきである。

(1) 原告は、別表(九)記載のとおり、昭和四四年から同五三年末までに少なくとも土地の取引回数三二回、その取引対象の土地の面積二万二八六三・五八平方メートルという広大な規模で連年土地を取得していた。

(2) 原告は、別表(一〇)の面積合計二万三一一三平方メートルという広大な土地を宅地に造成し、順次売買している。

(3) 原告は、前記(2)で宅地造成した広大な土地について、昭和四五年一月から昭和五二年一二月までの間に、別表(二)のとおり、少なくとも分筆面積一万二〇六九・四〇平方メートル、分筆された筆数六〇筆という分筆及び合筆面積一万七六〇三平方メートル、合筆された筆数一五筆という合筆を行い、その後間もなく右土地を売買している。

(4) 原告は、前記(2)の宅地造成の費用として、昭和四九年末までに一三五六万三〇〇〇円、昭和五〇年から昭和五二年末までに三八三二万七三二四円の合計五一八九万〇三二四円という莫大な金額を支出している。

(5) 原告は、昭和四五年から昭和四六年七月までに、石川譲外四名との間で、前記(2)の土地で当時未造成であった土地について、宅地造成工事を完了のうえ引き渡すことを条件にして、売買契約を締結している。また、原告は、昭和四五年一〇月二七日石川能宣に二四〇万円で売買予約した一〇三二番六、九九一平方メートルの山林を宅地に造成し、これを昭和四八年一二月二一日土地を予約価額の二倍に当たる四八〇万円、造成費用を一坪当たり一万円の割合で三〇〇万円と計算して、合計金額七八〇万円で売買している。

(6) 原告は、土木建築工事の設計施工を事業目的とする三宅土建株式会社の代表取締役であり、かつ土木建築の設計施工、宅地建物の取引業及び不動産賃貸業を事業目的とする城南開発株式会社の代表取締役であって、本件係争年分の他の所得として、建築関係、土地賃貸関係による事業所得、不動産貸付による所得、不動産譲渡による譲渡所得その他の所得を得ている。

2  事業所得と譲渡所得の計算方法

固定資産である土地(販売目的以外の目的で保有していた土地)に、販売することを目的として宅地造成等の加工を加えた場合には、その時点において固定資産からたな卸資産又はたな卸資産に準ずる資産に転化したものであるから、右土地の譲渡によって生じた所得のうち譲渡所得に係る収入金額とすべき部分は、固定資産が販売用資産に転化したと客観的に認めうるその宅地造成(区画形質の変更)等の着手直前における当該土地の価額によるべきである。したがって、原告主張の区画形質の変更による利益に対応する部分を算定して、これを事業所得とし、その他を譲渡所得とすべきであるとする収入金額の計算方法は理由がなく、失当である。

3  素地価額

(主位的主張)

別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買をした各土地並びに同(六)記載の交換をした土地の宅地造成の着手直前である昭和四五年一二月末ころにおける一平方メートル当たりの価額は、別表(一二)記載のとおり右土地ないしその周辺地の売買取引実例五件に基づいて算出した二一四九円である。なお、同別表の「時点修正」欄の「価格指数」とは、日本不動産研究所による全国市街地価格指数(住宅地)のことである。この時点修正は、右売買取引実例五件の各売買取引の時点を右宅地造成の着手直前の時点に補修するために行ったものである。

ところで、不動産鑑定士による鑑定評価によると、右一平方メートル当たりの素地価額が二一三〇円と評価されているので、被告主張の右一平方メートル当たりの素地価額は妥当である。

(予備的主張)

かりに宅地造成に着手した時期が昭和四六年一二月であるとしても、右着手直前における右各売買をした各土地及び右交換をした土地の一平方メートル当たりの素地価額は、別表(一四)記載のとおり二八〇九円である。

4  造成経費

(一) 推計の必要性

原告が相続等により取得して宅地造成した別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買をした各土地並びに同(六)記載の交換をした土地を含む別表(一〇)記載の土地に原告が支出した造成経費については、推計によって認定せざるを得ない。なぜなら、宅地造成の譲渡原価を計算するに当たっては、宅地造成の対象となった土地を未造成宅地、造成中土地及び造成完了土地に分類・整理したうえ、これらに経費を実額配賦する必要があり、そのためには購入から売却に至るまでの土地の流れを完全に数学的に把握して、これを組織的な帳簿書類に記帳していることが不可欠である。ところが、原告は、右の組織的な帳簿書類を備え付けず、単に断片的な書類しか保存していなかったので、右の実額による原価計算を行うことは不可能である。

(二) 造成経費の総額

原告は、補完工事費五〇〇〇万円のうち二五〇〇万円を昭和五一年分及び昭和五二年分の経費として算入すべきであると主張する。ところで、その年分の事業所得の計算上必要経費に算入すべき金額は、その年において債務の確定している費用の額に限られる(所得税法三七条一項)。そして、右補完工事費用の債務が確定したのは、原告が昭和五三年八月七日付けで川之江市役所に別表(一〇)記載の土地の建物建築に必要な道路位置指定に係る申請書を提出し、川之江市長が同年九月一四日付けで右補完工事に係る排水設備工事の実施後検査のうえ右申請についての同意書を交付する旨回答していること及び原告自身が右補完工事費用を昭和五三年に実施したと主張していることから、昭和五三年以降のことである。したがって、右補完工事費用を昭和五一年分及び昭和五二年分の経費として認めることはできない。

(三) 処分可能見込面積

原告が相続等により取得して宅地造成した別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買をした各土地並びに同(六)記載の交換をした土地を含む別表(一〇)記載の土地のうち昭和五二年一二月末において宅地として処分可能と見込まれる土地の面積が(1)の土地の面積から(2)の土地の面積を控除した一万七五二九・六九平方メートルであることは、明らかである。

(1) 宅地造成面積

原告が相続等により取得して宅地造成した別表(一〇)記載の土地は昭和五二年一二月末までに造成工事の大半が終了していた。ただし、同別表記載の土地のうち、一〇〇七番地一の土地は、宅地として売却可能な土地と道路、斜面の底地、崖等の売却不能な土地とが現段階では渾然一体となっているため、宅地として処分可能と見込まれる土地の面積の把握に困難を伴うから、処分可能面積から除くこととする。そこで、一〇〇七番地一の土地を除いた同別表記載の土地の面積は、別表(一三)記載のとおり一万八二五三・六九平方メートルである。別表(一〇)記載の土地は、昭和五二年一二月末造成工事の大半が終了した後、整地されて実測のうえ、分・合筆された昭和五七年七月当時の土地の登記簿上の面積が別表(一三)記載のとおりであり、分・合筆後の登記簿の面積は正確なものといえるから、右数値は正確なものである。

(2) 宅地処分不可能見込面積

ア 道路部分の面積

別表(一〇)記載の土地のうちその現況が道路となっている土地は、別表(一四)1ないし4及び6、7記載の土地並びに同別表5記載の土地の一部分である。そして、右現況が道路となっている部分の面積は合計六二六平方メートルである。

イ 崖部分の面積

別表(一〇)記載の土地のうちその現況が崖となっている土地は、別表(一五)記載の土地である。そして、右現況が崖となっている土地の面積は九八平方メートルである。

ウ 宅地処分不可能見込面積の計算

別表(一〇)記載の土地のうち宅地処分不可能見込面積は、前記アの道路部分の面積六二六平方メートルとイの崖部分の面積九八平方メートルとを加えた七二四平方メートルである。

(四) 造成経費を工事単価によって算出する方法による計算方法

原告は、造成経費の予備的主張として工事単価に基づいて計算する方法を主張しているが、これは適当ではない。

(1) 工事費の負担すべき土地の選定

ア 附帯道路工事費を負担しない土地の存在

原告の主張する工事の行われた道路部分は昭和五〇年ないし昭和五二年に売買をした土地のためだけでなく、それ以外の土地のためにも用いられるものである。したがって、右道路工事費は、昭和五〇年ないし昭和五二年に売買された土地以外の土地に対しても按分して負担させるべきである。ところが、原告の主張では、右工事費を昭和五〇年ないし昭和五二年に売買された土地以外の土地には一切負担させず、昭和五〇年ないし昭和五二年に売買された土地のみに負担させることによって、昭和五〇年ないし昭和五二年の経費を不当に多額計上している。

イ 附帯道路工事費の重複計上及び存在しない道路の工事費計上

原告の主張では、昭和五〇年に工事を行った道路と昭和五一年に工事を行った道路との一部が重複しており、その部分の道路工事費は二重に計上していることとなる。

また、一〇〇七番二八に面した部分については、現況では道路が存在していない部分があり、原告はこの存在しないいわば幽霊道路の工事費を二重に計上している。

ウ 個々の分譲地に無関係(不必要)な位置の附帯道路工事費の負担及び個々の分譲地に不可欠な附帯道路の工事費の無負担地の存在

一〇〇七番一四の土地は昭和五二年に売買された土地であるが、原告の主張ではその進入路である道路の工事費を昭和五一年の造成経費として計上しているので、同年の経費の負担がその分不当に多額に計上されていることとなる。

また、一〇〇七番六の土地は昭和五〇年に売買された土地であるが、原告の主張ではその進入路である道路の工事費を昭和五二年の造成経費として計上しているので、同年の経費の負担がその分不当に多額に計上されていることとなる。

(2) 単価等の数値の不合理

ア 単価の数値

原告の主張する金額は、別表(一〇)に記載された土地に係る費用として支出されたことが確認できる資料に基づいて算出されたものでなければ、右土地の造成経費とは何ら関係のない、そして何の意味も持たないものである。したがって、造成工事の時期及び計算の根拠となっている単価及び数量についての根拠となる書類の提示もない原告の主張は、到底認められず、このことは附帯道路工事費についても同様である。

イ 諸経費

原告は、諸経費について、各区画の造成工事費合計額の三五パーセント相当額を一律に計上している。

しかし、諸経費は当該造成工事のために支出されたことが確認できなければならず、各工事において一定でない諸経費を支出の内容及び金額を明らかにすることなく、一定の割合を乗じて算出した数字を以てこれを諸経費として所得金額の計算上必要経費とすることはできない。

5  特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例

資産の譲渡をした場合に特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の適用を受けるためには、譲渡した右資産が事業の用に供されていることが必要であるが、別表(七)4及び5記載の売買をした土地並びに別表(八)2ないし8記載の売買をした土地は、次に述べる事情から事業の用に供していたとは認められないから、右土地に右特例を適用すべきであるとする原告の主張は失当である。

(一) 昭和四九年五月、右土地上に建設資材・建築機械等を置いていた形跡は認められない。

(二) 原告から右資産を賃借していたとされる三宅土建株式会社の昭和四六年から解散した同四九年までの法人税の確定申告書に添付された決算書及び付属明細書には右賃借料支払いの事実がない。しかも、原告も右期間の住民税の申告において同法人からの賃貸料の申告をしていない。

(三) 右法人の右期間の右付属明細書によっても建設資材・建築機械等の所有がない。また、同法人の事業規模からみても右土地ほどの広い面積を必要とする建設資材・建築機械等を所有していたとは認められない。

(四) 右土地は、被告が特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例を適用した別表(七)1ないし3及び6記載の売買をした土地並びに別表1記載の売買をした土地の買換資産としている土地と隣接しており、右特例の適用された土地は昭和四九年末から昭和五一年三月にかけて建築されていたところからみて、被告が右特例を適用していない右土地に機材を置くことは考えられない。

六  原告の再々反論

1  宅地造成の着手時期と事業性

(一) 宅地造成の着手時期

区画形質の変更等による利益に対応する部分が事業所得となるのは、その土地が区画形質の変更の着手時点において販売を目的としたたな卸資産となる場合でなければならない。原告は、相続配分を目的として一部の土地を売買をしたことはあったが、大部分の土地はアパート建設用地、賃貸によるスラッジ置き場及び建設業の資材置き場として利用しており、たな卸資産ではない。したがって、区画形質の変更の着手時期は、それぞれの土地の売買契約を締結した日である。

(1) 昭和五〇年売買をした土地

原告が昭和五〇年売買をした別表(五)記載の土地の宅地造成に着手したのは同年である。右土地は、井地山の山裾部分に当たり、大量の土砂採取と関係なく宅地化できたところであり、昭和四五年末に一律に区画形質の変更の着手があったとすることはできない。

(2) 昭和五一年以降売買をした土地

原告が昭和五一年及び昭和五二年売買をした別表(七)及び同(八)記載の土地は山林であった。原告は、昭和四二年ころ有限会社大西産業株式会社、本間組からされた申入れに応じて右山林の土砂を採取させ、その結果同四五年ころには右山林の過半が現況となり、昭和四六年にはほぼ現況となったものである。原告はそのころまで右宅地造成の費用を負担したことはない。そして、原告は、昭和四四年ころから右山林の土砂採取の跡地の一部を原告が営む土建業の資材置き場として使用し、また右跡地のうち三〇〇〇平方メートルを製紙業者にスラッジ置き場として賃貸し、さらに昭和四九年に右跡地に三階建て一八戸のアパートの建築に着手している。したがって、右土砂の採取は、宅地造成を目的としたものではないから、「固定資産である林地その他の土地に区画形質の変更を加え」(所得税基本通達三三の四)たことにはならないというべきである。そして、原告が右跡地を資材置き場、スラッジ置き場のための賃貸及びアパート用地として使用しているかぎりは、右跡地はたな卸し資産でなく、原告が相続配分ないしアパート建設費用調達のため右用途を変更したときにたな卸資産に転化したとすべきであり、区画形質の変更に着手した時期はそのたな卸資産に転化した後とすべきである。

(二) 宅地造成の事業性

原告が昭和五〇年にした別表(五)記載の売買によって生じた所得は、すべて譲渡所得として区分すべきである。

(1) 原告は、昭和四二年ころから川之江市川之江町字井地山の山地の造成に着手したが、その動機は大王製紙株式会社が伊予三島市において臨海工場用地の埋立工事に着手して大量の土砂を必要としたからである。すなわち、右造成は、右埋立用土砂の採取の結果、その跡地としての平地ができたものであって、原告が事業として土地造成を行ったものではない。また、昭和四六年にほぼ現況になった平地部分のその後の利用状況は、大部分の土地が自己使用又は賃貸として計画され、そのとおり実行されており、販売を目的として区画形質の変更を加えて宅地となし、順次売却したものではない。

(2) 原告が昭和四五年から昭和五〇年までに右造成した土地の一部を売却し又は売買契約を締結したのは、右造成した土地の相続配分を目的としてである。すなわち、右土地はすべて原告が相続により取得したものであり、被相続人の負債整理及び他の相続人への協議による配分を目的とした委任行為による売買である。したがって、営利を目的とした事業には当たらない。

2  事業所得と譲渡所得の計算方法

所得税基本通達三三の五は区画形質の変更による利益を事業所得とし、その他を譲渡所得としているから、譲渡による収入からまず事業所得を算出してその他を譲渡所得とすべきである。

被告の主張のごとく譲渡による収入からまず譲渡所得を算出してその他を事業所得とすると、土地の値上がり益や公共事業による値上がり益(別紙(五)ないし(八)記載の売買した土地に隣接して川之江市が昭和四二年から同四七年にかけて幅員一二メートルの都市街路を新設したので、右土地には莫大な開発利益が生じた。)などの譲渡所得とみるべき利益が事業所得と評価されることになるので、不合理である。

3  売買代金額

別表(五)ないし(八)記載の売買代金額のうち原告の主張と被告の主張との差額については、以下のとおりの経費であると主張する。

(一) 別表(五)2記載の売買代金額についての原告の主張と被告の主張との差額七二万円は、原告が昭和四九年に施工した進入路の工事代金一四四万円を三宅陽一と折半したものを計上したものである。

(二) 別表(七)3記載の売買代金額についての原告の主張と被告の主張との差額三〇〇万円は、ミダレ石積用石材(青石)の手持品二〇〇トンを使用したので、その一トン当たり一万五〇〇〇円の工事費を別途計上したものである。

(三) 別表(七)9、10、11、12、13、15、16、17記載の売買代金額についての原告の主張と被告の主張とのそれぞれの差額二八万円、二八万円、二〇万円、二〇万円、一一万円、二〇万円、一六万円、一〇万円は、墓地用地である右売買をした土地の通路・塀等の工事代金合計一五三万円である。その内訳は、昭和四八年に設置した通路の工事負担金八〇万円と同年に仁尾明外三名に注文した塀等の工事費七三万円である。

(四) 別表(七)14記載の売買代金額についての原告の主張と被告の主張との差額一九〇万円は、昭和四九年に収入したものであり、同五一年は三一〇万円の収入である。

(五) 別表(八)15、16記載の売買代金額についての原告の主張と被告の主張とのそれぞれの差額九万七〇〇〇円、一八万円は、墓地用地である右売買をした土地に昭和四八年設置した通路・ブロック塀等の工事代金合計二七万七〇〇〇円である。

4  素地価額

(一) 川之江市川之江町字井地山の土地造成は、加工の時期が長く、範囲が広大であり、かつ目的が雑多にわたるので、素地価額の設定も一時点に限定するのは、無理である。

(二) 被告の主張する周辺地の売買取引実例五件は、いずれも宅地利用が不可能な道路のない事例を取り上げている。そして、昭和四五年にすぐ近くの本件と全く同一の条件の山地が未加工のまま、一平方メートル当たり一万六六〇〇円(一坪当たり五万円)で一〇〇〇坪取引された事例がある。

(三) かりに一平方メートル当たりの素地価額を求めるとすると、一万三九三五円とすべきである。昭和四八年一月六日に一〇四三番地の二、三五八八平方メートルの畑が五〇〇〇万円で売買されており、この土地は、本件土地と近接しているばかりでなく、山を切り崩しており、また公道に接する形等本件土地に酷似しているから、素地価額を求めるには最適である。そこで、右売買代金額五〇〇〇万円を面積三五八八平方メートルで除すると一万三九三五円(一円未満四捨五入)となる。

5  造成経費

(一) 造成経費の総額

原告が昭和四九年までに支出した一三五六万三〇〇〇円は、土取り除けに支障となった神社・墓地等の移転補償費並びに工事費であるので、宅地の造成経費として支出したものではない。

また、補完工事費用については、昭和五三年になってから、官庁から同五一年及び同五二年に売買した土地につき法律違反があるとの指摘を受け、同五三年と同五四年に施工して支出したものであるが、このような場合には税法上経費として前年分への繰り上げが認められており、そのことは売買に対する瑕疵担保責任としても当然である。

(二) 処分可能見込面積

処分可能見込面積には現実には宅地造成していないアパート用地等の土地が含まれており、右土地は処分可能面積から除外されるべきである。なぜなら、右アパート建設用地は産業道路に直接面しており、造成地への進入路、排水施設及び崖地擁壁工事等は必要なく、またアパート建設に際しては建物建築と敷地造成を同時に行い、費用もアパート建設費として一括計上しているので、分譲した土地の経費との混同はない。また、相続配分として譲渡をした土地、道路用地、交換をした土地についても除外すべきである。さらに、自己使用地のうち三宅建設株式会社に資材置き場として賃貸している部分は未造成地であり、たな卸資産ではないし、かりに将来分譲を行うことがあっても、その時点で多額の造成費用を必要とする。

(三) 造成経費の計算

造成経費は各年ごとに算出すべきである。

昭和五〇年に別表(五)記載の売買をした土地は、山の裾野に位置しており、また公道も近いので、造成経費の算出は容易であり、また原告は、この時点で、殆どの土地を自己が使用し、または賃貸に利用しており、昭和五一年以降の分譲予定がなかったので、未造成土地を含めた経理をすることは不可能であった。

6  特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例

原告は、土建業を営む者であり、一〇六七番地の土地を建設資材・機械の置き場として利用していたところ、昭和四六年四月川之江市から右土地を市道とするために買収されたので、それ以後別表(七)4及び5記載の売買をした土地並びに別表(八)2ないし8記載の売買をした土地を建設資材・建設機械・車両等の置き場として利用してきた。したがって、原告は、右土地を建築事業の用に供してきたものであるから、右土地の譲渡所得については、特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の適用を認めるべきである。

七  被告の再々々反論

1  宅地造成の着手時期と事業性

(一) 宅地造成の着手時期

原告が昭和五〇年に別表(五)記載の売買をした土地の所在は、原告が昭和五一年及び昭和五二年に別表(六)及び同(七)の売買をした太田久市外九名の土地の奥に位置し、ことに別表(五)3記載の売買をした土地は右造成地の最奥部に位置していることから、原告が昭和五〇年に別表(五)記載の売買をした土地が井地山の山裾部分に当たり、大量の土砂採取とは関係なく宅地化されたものとはいえない。

(二) 宅地造成の事業性

前記五1(二)によれば、別表(五)記載の売買及び同(六)記載の交換をした土地が固定資産から販売用資産(たな卸資産)に転化したのは、昭和四五年末であると認められるので、右売買及び交換によって生じた所得については、分譲面積が小規模であるから、すべて譲渡所得に該当するとの主張は失当である。

また、原告が現在第二城南ハイツの敷地の一部として使用している一〇三二番八、三四八平方メートルの土地は、原告が当初区画形質の変更等に着手した付近に所在し、かつ昭和四五年一二月一〇日石川譲に売買されている。したがって、原告は、右土地を当初から売買する目的であった。しかるに、原告は、右売買契約に基づく履行が可能であるにもかかわらず、その履行を渋り、右石川を解約させるように仕向け、継続的な収益を上げるためのマンション敷地として自己使用に転用している。したがって、原告は、整地後にその目的を変更して、自己使用又は賃貸目的としたにすぎない。

かりに原告土地をすべて相続により取得し、かつその土地の売買が他の相続人への分配を目的としたものであったとしても、そのことから直ちに、その売買が事業に当たらないとはいえず、右土地の区画形質を変更し、営利を目的として継続的に売買を行う場合は事業に当たる。

2  素地価額

前記五3の売買取引実例には原告が売買した一〇三二番六、九九一平方メートルの山林も含まれており、右売買取引実例は宅地利用が不可能な道路のない土地ではない。また、石川清三が宇田登に川之江市川之江町の土地を一坪当たり五万円で売買しているのは、宅地造成してこれを完了のうえ引渡しをすることを条件とし、また売買契約締結日も昭和四八年一月一六日であるから、右売買が右素地価額の妨げとなるものではない。

3  造成経費

原告が組織的な帳簿書類を備え付けず、単に断片的な書類しか保存していなかったので、右の実額による原価計算を行うことは不可能であるから、原告が昭和五〇年から昭和五二年にかけて支出した造成費用が右各年に売買した個々の土地に対する区画工事及びその土地から公道に至る進入路新設の工事費用であるか否かはもとより、この中に未造成部分の工事費及びアパート建設等に際しての造成工事費が含まれているか否かについては判断しえない。

第三証拠 <略>

理由

一  宅地造成について

1  争点

被告は、原告が昭和四五年一二月末ころないし昭和四六年一二月から別表(五)、同(七)及び同(八)記載の各売買をした各土地並びに同(六)記載の交換をした土地について対価を得て継続的に行う意思をもって売買するために宅地造成に着手したと主張する。原告は、これに対して、右各土地について対価を得て継続的に行う意思をもって売買するために宅地造成したものでないと主張する。そこで、以下、原告が右各土地を被告について対価を得て継続的に行う意思をもって売買するために宅地造成したか否か、宅地造成をしたとすれば、その着手時期はいつかについて検討する。

2  裁判所が認定した事実

<証拠略>によれば、以下の事実が認められる。

(一)  別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買をした各土地並びに同(六)記載の交換をした土地を含む別表(一〇)記載の土地は、井地山と呼ばれる標高約六〇メートルの山林の北斜面に在った。原告は、川之江市から譲渡を受けた土地を除いて、昭和四〇年以前に相続又は贈与により右土地を所有するに至った。

(争いのない事実)

(二)(1)  別表(一〇)記載の土地は昭和四三年ころまでは造成等のされていない山林であった。(<証拠略>)

(2) 大西産業有限会社は、原告から右土地の土砂の取除けの依頼を受け、昭和四五年夏ころから取り除けた土砂を埋立てに使う目的で右土地の西側の山裾(南側)から東側に向けて土砂の取除けを始めた。また、株式会社本藤組も昭和四六年ころ右土地の中央付近から土砂を大量に取り除け始めた。(<証拠略>)

(3) 右両社を含むその他の者のブルドーザー等を用いた土砂の取除けにより、昭和四六年末には右土地はほぼ現況のように平地となった。(<証拠略>)

(三)(1)  原告は、昭和四五年一二月ころ、石川譲に対し、別表(一〇)記載の土地内にある一〇三二番一の土地のうち後に分筆した同番七、山林、一四七平方メートルの土地及び同番二の土地のうち後に分筆した同番八、山林、三四八平方メートルの土地を、宅地造成工事を完了のうえ引き渡すことを条件にして、二七〇万円で売却している。右両土地は、別表(一〇)記載の土地の北西に位置し、現在第一城南ハイツが建っている。(<証拠略>)

(2) 原告は、昭和四五年ころ、吉岡イシノに対し、別表(一〇)記載の土地内の当時未造成地であった東側の山林、五〇坪の土地を、宅地造成工事を完了のうえ約一年後に引き渡すことを条件にして、九〇万円で売却している。(<証拠略>)

(3) 原告は、昭和四五年一〇月二七日、石川能宣に対し、別表(一〇)記載の土地内にある当時未造成地であった一〇三二番六、山林、九九一平方メートル(三〇〇坪)の土地を、二四〇万円で売買予約した。原告は、その後売買代金の増額を要求し、昭和四八年一二月二一日、宅地造成工事を完了のうえ引き渡すこと及び幅四メートルの道路を設置することを条件にして、七八〇万円で売買契約を締結した。(<証拠略>)

(4) 原告は、昭和四六年一月一四日、吉岡辰一に対し、別表(一〇)記載の土地内にある一〇三二番の土地のうち山林、一六五平方メートルの土地を、昭和四六年三月三一日までに宅地造成工事を完了のうえ引き渡すこと及び幅四メートル以上の進入路を設置することを条件にして、一〇〇万円で売却している。(<証拠略>)

(5) 原告は、昭和四六年二月六日、金丸敏数に対し、別表(一〇)記載の土地内にある一〇二七番一一の土地のうち山林、一六五平方メートルの土地を、昭和四六年三月三一日までに宅地造成工事を完了のうえ引き渡すことを条件にして、一二五万円で売却している。(<証拠略>)

(6) 原告は、昭和四六年四月八日、岡田昇に対し、別表(一〇)記載の土地内にある一〇二七番一一の土地のうち山林、一六五平方メートル(五〇坪)の土地を、昭和四六年七月末日までに宅地造成工事を完了のうえ引き渡すこと並びに道路及び下水・排水工事を行うことを条件にして、一二五万円で売却し、なお、昭和四八年一二月二五日履行期など契約条件を若干変更している。(<証拠略>)

(7) 原告は、昭和四六年七月七日、小山義人に対し、別表(一〇)記載の土地内の当時未造成地であった六〇坪の土地を、昭和四六年一〇月末日までに宅地造成工事を完了のうえ引き渡すこと並びに道路及び排水工事を行うことを条件にして、一五〇万円で売却している。(<証拠略>)

(8) 原告は、昭和五〇年から昭和五二年までに、別表(一〇)記載の土地内にある同(五)、(七)1ないし14及び同(八)1ないし16記載の各売買をした各土地を売買した。(争いのない事実)

(四)  原告は、別表(一〇)記載の土地について、昭和四五年一月から昭和五二年一二月までの間に、別表(一一)記載のとおり、少なくとも分筆面積一万二〇六九・四〇平方メートル、分筆された筆数六〇筆という分筆及び合筆面積一万七六〇三平方メートル、合筆された筆数一五筆という合筆を行い、その後間もなく右土地を売買している。(<証拠略>)

(五)  原告は、別表(一〇)記載の土地について、少なくとも、昭和五〇年から昭和五二年までに宅地造成するために三八三二万七三二四円を支出した。(争いのない事実)

(六)  原告が昭和五一年三月一〇日銅山川上水道企業団企業長に提出した給水装置新設工事申込書に添付された図面において、原告は別表(一〇)記載の土地を分譲予定地としていた。(<証拠略>)

(七)(1)  原告は、自身取引主任の免許を有しているうえ、土木建築工事の設計施工を事業目的とする三宅土建株式会社の代表取締役であり、かつ土木建築の設計施工、宅地建物の取引業及び不動産賃貸業を事業目的とする城南開発株式会社の取締役である。(<証拠略>)

(2) 原告は、別表(九)記載のとおり、昭和四四年から昭和五三年末までに少なくとも土地の取引回数三二回、その取引対象の土地の面積二万二八六三・五八平方メートルという広大な規模で連年土地を取得していた。(<証拠略>)

3  裁判所の判断

(一)  譲渡所得と事業所得との区分

土地等の資産の譲渡による所得が譲渡所得として課税の対象にされているのは(所得税法三三条一項)、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産の所有者が支配を離れて他に移転するのを機会に、これを清算して課税する趣旨のものである(最高裁判所昭和四七年(行ツ)第四号昭和五〇年五月二七日第三小法廷判決・民集二九巻五号六四一頁以下)。ところが、たな卸資産(事業所得を生ずべき事業に係る商品、製品、半製品、仕掛品、主要原材料等である。同法二条一項一六号、同法施行令三条)の譲渡その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得は、譲渡所得に含まれないものとされている(同法三三条二項一号)。これは、譲渡所得が概して臨時的、偶発的に発生する所得であるのに対し、たな卸資産の譲渡等により発生する所得は、経常的、計画的に発生するものであるから、譲渡所得に比較して担税力に優るので、税負担の衡平を図るため、譲渡所得とは区別して、同法二七条一項に定める事業所得として課税する趣旨であると考えられる(東京高等裁判所昭和四七年(行コ)第三三号昭和四八年五月三一日判決・行裁集二四巻四・五号四六五頁以下)。そして、農業、林業、狩猟業、漁業、水産養殖業、鉱業、建設業、製造業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、運輸通信業、医療保健業、著述業その他のサービス業並びにそれ以外の対価を得て継続的に行う事業から生ずる所得は事業所得と定められており(同法二七条一項、同法施行令六三条)、右対価を得て継続的に行う事業とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務をいう(最高裁判所昭和五二年(行ツ)第一二号昭和五六年四月二四日第二小法廷判決・民集三五巻三号六七二頁以下)。

そこで、原告が行った別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買及び同(六)記載の交換による所得が譲渡所得に該当するか、あるいは事業所得に該当するかを検討する。前記2で認定したとおり、原告は、二、三年という短期間に、しかも大西産業有限会社に対しては原告が依頼して別表(一〇)記載の山林の土を取り除けて平地にしていること、右土地に多額の造成費用を支出していること、右造成が完了していない間にもその完了を予定して売買を行っていること、右土地のうち広大な面積について多数回にわたり分・合筆を繰り返していること、昭和五二年までに右各売買及び交換を含めて右造成地の多くを売却していること、昭和五一年には分譲費予定地とした書面を作成していること、原告は取引主任の資格を有し、不動産業を営む会社の取締役をしていること、原告が右造成地以外にも多数の売買取引を行っていること等を考慮するならば、原告の右各売買及び交換は自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務に当たるものと解するのが相当である。したがって、原告が行った別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買及び同(六)記載の交換による所得は、原則として事業所得に該当するものと解される。

ところで、土地等の譲渡がたな卸資産又はこれに準ずる資産の譲渡に該当する場合であっても、極めて長期間引き続いて販売目的以外の目的で所有していた土地等について、販売することを目的として宅地造成等の加工を加えた場合には、その土地等の譲渡による所得には、右加工を加える前に潜在的に生じていた資産の価値の増加益に相当するものが相当部分含まれていると考えられる。そこで、そのような場合には、右加工に着手する時点までの資産の価値の部分に相当する所得を譲渡所得とし、その他の部分を事業所得又は雑所得とするのが相当である。所得税基本通達三三の五の規定もこのような趣旨を定めたものと解される。

そこで、原告が行った別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買及び同(六)記載の交換による所得について検討する。前記2で認定したとおり、川之江市から譲渡を受けた土地を除いた別表(一〇)記載の土地は、原告が昭和四〇年以前に相続又は贈与により所有するに至ったものであるから、極めて長期間所有していた土地といえる。そして、前記2で認定した右土地の造成の経過、右造成地の売買の時期及び条件、分・合筆の回数及び面積、造成費用の額等に鑑みれば、右宅地造成は対価を得て継続的に売買をする意思で行われたものと認められるので、右造成地は宅地造成の時点でたな卸資産に転化したものと考えるのが相当である。したがって、右各売買及び交換による所得のうち、右宅地造成(所得税基本通達三三の五にいう「区画形質の変更等」)の直前における価額は、譲渡所得に当たると解するのが相当である。

よって、右各売買及び交換による所得のうち、原告が対価を得て継続的に売買する意思で宅地造成に着手する直前における右造成地の価額をもって譲渡所得とし、その他の所得を事業所得とすることとなる。

(二)  宅地造成の着手時期

前記(一)のとおり右各売買及び交換による所得のうち、原告が対価を得て継続的に売買する意思で宅地造成に着手する直前における右造成地の価額をもって譲渡所得とし、その他の所得を事業所得とするとして、原告が右宅地造成に着手した時期について検討する。前記1で認定した右土地の造成の経過、右造成地の売買の時期及び条件等に鑑みれば、原告が対価を得て継続的に売買をする意思で宅地造成を行った具体的な時期は、右造成地全体について、遅くとも昭和四五年一二月末であるとするのが相当である。なぜなら、遅くともそのころまでには、原告が対価を得て継続的に売買をする意思で別表(一〇)記載の土地のうちの一部の宅地造成に着手したことは明らかであり、その後の経過をも考慮すれば、原告が別表(一〇)記載の土地の全体を宅地造成する意思があったと認められるし、また比較的短期間のうちにほぼ右土地全体を平地としているからである。

4  原告の反論に対する判断

(一)  原告は、別表(一〇)記載の土地を販売目的をもって宅地造成してはおらず、埋立用の土砂を採取するために右土地の土砂の取除けをさせていたに過ぎず、また、右土砂を取り除けた跡地は、その大部分を自らアパートを建築し、あるいは他者に賃貸しており、一部譲渡した土地もあるが、それは相続の配分として、あるいは被相続人の債務の返済に充てるために行ったに過ぎないから、原告が右土地の区画形質の変更等をした時期はせいぜい右土地の売買契約を締結した時であると主張する。

(二)  しかし、原告の右主張は以下の理由により採用しえない。

(1) 原告が別表(一〇)記載の土地を販売目的をもって宅地造成してはいないとの主張であるが、前記2で認定した事実、特に右土地の造成の経過、売買の時期及び条件等に鑑みれば、右主張は到底採用しえない。そして、右土地の土砂を取り除けた理由の一つにその取り除けた土砂を埋立てに用いる目的があったとしても、そのことは原告が販売目的で右土地の造成をしたことの妨げとなるものではない。

(2) 原告が右土砂を取り除けた跡地の大部分を自らアパートを建築し、あるいは他者に賃貸しているとの主張であるが、確かにこのような事実を認めうるものもある。しかし、前記2(三)(1)で認定したとおり原告が現在アパート(城南ハイツ)を建てている土地の一部をこれらを建築する以前に石川譲に一旦売買しているのであって、少なくともこれらのアパートを建築する以前は原告が販売目的を有していたものと認められる。また原告が昭和四九年七月森井興業こと森井武雄を通じて国光製紙株式会社と大西登製紙株式会社に対して右造成地のうち三〇〇〇平方メートルを製紙滓(スラッジ)置き場として賃貸したことが認められる(<証拠略>)。しかし、これは、右製紙滓の焼却場ができるまでの一時的な賃貸を、森井興業こと森井武雄から依頼されて行ったものに過ぎないのであるから(<証拠略>)、右賃貸の事実があったからといって、原告が販売目的をもって右土地を造成したことを妨げるものではない。

なお、原告が三宅土建株式会社に対し右造成地の一部を資材置き場として賃貸したとの主張については、これに副う原告本人尋問の結果は<証拠略>に照らして採用できず、外にこれを認めるに足る証拠はないから、採用できない。

(3) 原告は別表(一〇)記載の土地の一部の売買を相続の配分のため及び被相続人の債務の返済に充てるために行ったに過ぎないとの主張であるが、そのことを認めるに足る証拠はなく(原告本人の供述は、それを裏付ける証拠もなく、採用できない。)、またかりにこれらの事実が認められるとしても、原告が販売目的で宅地造成をしたことの妨げとなるものではない。

二  素地価額について

1  事業所得と譲渡所得との区分方法

固定資産である土地(販売目的以外の目的で保有していた土地)に、販売することを目的として宅地造成等の加工を加えた場合に、右土地の譲渡によって生じた所得のうち譲渡所得とすべき部分と事業所得とすべき部分とはどのようにして計算すべきか。

右の場合に、右土地の譲渡によって生じた所得を譲渡所得と事業所得とに区分すべき理由は、前記一3(一)記載のとおり、臨時的、偶発的に発生する所得であるため、事業所得に比較して担税力の劣る譲渡所得とすべき部分が相当程度含まれており、これを事業所得として課税するのは税負担の衡平を欠くからである。そして、その譲渡所得とすべき部分は右加工を加える前に潜在的に生じていた資産の価値の増加益に相当するものであると考えられるから、譲渡所得は右加工に着手する直前の土地等の価額であり、事業所得は右土地等の譲渡による所得から右譲渡所得を控除したものとすべきである。したがって、本件においては、原告が対価を得て継続的にする売買をする意思で別表(一〇)記載の土地の宅地造成に着手する直前の価額をもって事業所得とし、右土地の譲渡による所得から右価額を控除したものを事業所得とすべきである。

なお、原告は、所得税基本通達の規定の仕方及び宅地造成後の増加益を譲渡所得とすべきであるとして、まず事業所得を算出し、譲渡による所得から右事業所得を控除して譲渡所得を算出すべきであると主張する。しかし、所得税法基本通達が右土地の譲渡による所得の譲渡所得と事業所得との配分方法までも定めたものとは考えられない。また、所得税法によれば、たな卸資産を譲渡した場合に、そのたな卸資産を所有している間に増加益を生じたとしても、これを特に事業所得から控除して譲渡所得としてはいないことから考えて、たな卸資産についての増加益は事業所得に当たるとするのが法の趣旨であると考えられる。

2  素地価額

(一)  争点

前記一3(一)で認定したとおり、別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買及び同(六)記載の交換による所得は、事業所得と譲渡所得に区分される。そして、前記1で述べたとおり、右区分の計算方法は、原告が右売買及び交換をした土地(を含む別表(一〇)記載の土地)の宅地造成に着手直前における価額、すなわち譲渡所得を求めて、右売買及び交換による所得から右譲渡所得を控除して事業所得を求めることとなる。そこで、右売買及び交換をした土地(を含む別表(一〇)記載の土地)の宅地造成に着手直前、すなわち前記一3(二)記載のとおり昭和五五年一二月末における価額を検討すべきことととなる。

(二)  取引事例

<証拠略>によれば、以下の売買事実が認められる。

(1) 原告は、昭和四五年一〇月二七日、石川能宣に対し、一〇三二番六、山林、九九一平方メートルの土地を二四〇万円で売買している。この売買の一平方メートル当たりの売買代金額は二四二一・八円(〇・一円未満四捨五入)である。(<証拠略>)

(2) 昭和四三年九月五日、一〇三四番、山林、二一五二平方メートルの土地を二〇〇万円で売買している。この売買の一平方メートル当たりの売買代金額は九二九・四円(〇・一円未満四捨五入)である。

(3) 昭和四四年一〇月一五日、川之江市川之江町九八八番二三、畑、一七一平方メートルの土地を四二万円で売買している。この売買の一平方メートル当たりの売買代金額は二四五六・一円(〇・一円未満四捨五入)である。

(4) 昭和四四年一〇月一五日、川之江市川之江町九八八番二七、畑、三九九平方メートルの土地を七二万円で売買している。この売買の一平方メートル当たりの売買代金額は一八〇四・五円(〇・一円未満四捨五入)である。

(5) 昭和四五年一二月二五日、九八〇番一、山林、一四九七平方メートルの土地を二四〇万円で売買している。この売買の一平方メートル当たりの売買代金額は一六〇三・二円(〇・一円未満四捨五入)である。

(三)  当裁判所の判断

前記(二)記載の各取引事例は、別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買及び同(六)記載の交換をした土地(を含む別表(一〇)記載の土地)の地目とほぼ同一であり、また右土地の近隣にあり、取引時期も宅地造成の着手時期である昭和四五年一二月末に近いので、右各取引事例を参考として、右売買及び交換をした土地(を含む別表(一〇)記載の土地)の宅地造成の着手時期である昭和四五年一二月末の直前における価額を算出するのが相当である。(<証拠略>)

右各取引事例の一平方メートル当たりの単価(別表(一二)の「一m2当り単価」欄記載を財団法人日本不動産研究会の全国市街地価格指数に基づいて昭和四五年一二月における右単価を計算すると同別表「45・12現在一m2当りの単価」欄記載の数字となる。そして、これらの昭和四五年一二月における各取引事例の一平方メートル当たりの平均価額は、右修正された単価の合計額一万〇七四四円を五で除した二一四九円(一円未満四捨五入)である。

したがって、右売買及び交換をした土地(を含む別表(一〇)記載の土地)の宅地造成の着手時期である昭和四五年一二月末の直前における一平方メートル当たりの価額は、二一四九円と認定するのが相当である。

(四)  原告の反論に対する判断

原告は、別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買及び同(六)記載の交換をした土地(を含む別表(一〇)記載の土地)の素地価額を一時点に限定して設定するのは無理であり、また右取引事例を右売買及び交換をした土地(を含む別表(一〇)記載の土地)の素地価額の参考とすることは不適切であり、さらに右各取引事例とは別に右売買及び交換をした土地(を含む別表(一〇)記載の土地)の素地価額の参考とするのに適切な事例が存すると反論する。

しかし、右売買及び交換をした土地(を含む別表(一〇)記載の土地)は、前記認定のとおり井地山の北側の一団の土地であり、その地目も現況はほぼ同一であるから、右土地の造成期間が一時でなく、その範囲も広大で、かつ目的が雑多にわたっているとしても、素地価額を一定時点に設定することは可能である。また、前記認定のとおり、右各取引事例は、いずれも地目、近接性、取引時期等から、右売買及び交換をした土地(を含む別表(一〇)記載の土地)の素地価額の参考とするのに適切であり、右取引事例の土地が宅地利用の不可能な道路のない土地であるとは認められない。さらに、原告が主張する取引事例は、昭和四八年一月六日に畑を宅地に造成して引き渡す条件で売買された事例であり(<証拠略>)、宅地造成の着手直前における価額の参考とするのは不適切である。

三  造成経費について

1  争点

被告は、別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買をした各土地並びに同(六)記載の交換をした土地を含む別表(一〇)記載の土地に原告が支出した造成経費は、宅地造成の対象となった土地を未造成宅地、造成中土地及び造成完了土地に分類・整理したうえ、これらに経費を実額配賦すべきであるが、原告が右実額配賦をするために必要な帳簿を備えつけていないので、右経費を推計するしかなく、造成費用の総額を宅地処分可能面積(右造成地の全面積から宅地処分不可能見込面積を控除したもの)で除した一平方メートル当たりの造成経費に、当該課税年に譲渡した土地の面積を乗じた額をもって当該課税年の造成経費であると主張する。原告は、これに対し、各課税年に原告が現実に支出した造成額をもって当該課税年の造成経費とすべきであり、かりにそうでないとしても造成工事の単価から造成経費を算定すべきであると主張するとともに、被告主張の処分可能見込面積には処分不可能な土地が含まれていると反論する。

2  裁判所の判断

(一)  造成経費の計算方法

「事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、この所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他この所得を生ずべき業務について生じた費用の額」としており(所得税法三七条)、また「譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額」としている(同法三八条)。

別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買をした各土地並びに同(六)記載の交換をした土地を含む別表(一〇)記載の土地に原告が支出した造成経費は、これが事業所得に含まれるかあるいは譲渡所得に含まれるかの点はさて措くとして、右事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額とされているこの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るために直接要した費用の額、ないし右譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費とされている改良費の額のいずれかに当たるものと考えられる。そうすると、右売買及び交換した土地の造成経費は、その各筆ごとに売買及び交換により生じた所得を計算する以上、その土地を売買及び交換したことにより所得を生じた年に当該土地の造成に必要とした費用を必要経費に算入すべきであり、右造成地全体についてその支出した造成経費を支出した年ごとに必要経費に算入すべきではない。

(二)  一平方メートル当たりの造成経費

(1) 推計の必要性

別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買をした各土地並びに同(六)記載の交換をした土地を含む別表(一〇)記載の土地の造成経費は、前記(一)で認定したとおり当該土地を売買及び交換したことにより所得を生じた年に、当該土地に支出した造成経費の額を当該土地の売買及び交換による所得の金額の計算上必要経費として算入ないし資産の取得費として控除すべきである。ところで、そのように各土地ごとに、そして売買及び交換により所得を生じた年に当該土地に支出された造成経費を所得の金額の計算上必要経費として算入ないし資産の取得費として控除するとすると、宅地造成に着手した後には右各土地ごとに当該土地が譲渡されるまでその支出された造成経費を計算しておかなければならない。そのためには、右造成に着手した後には、右各土地ごとに支出した造成経費を明らかにする組織的な帳簿書類が必要である。しかし、原告は、このような組織的な帳簿を備え付けておらず、断片的な帳簿しかないことが認められる(<証拠略>)。したがって、譲渡した土地ごとに支出した造成経費を実額によって計算することは不可能であると言わざるを得ない。そこで、本件においては、右売買及び交換された土地の造成経費は推計によって計算することになるところ、その推計の方法は、原告が右売買及び交換をした土地を含む別表(一〇)記載の土地を宅地造成するのに要した総費用(造成経費の総額)を右土地のうち宅地としての処分が可能と見込まれる土地の面積(処分可能見込面積)で除した一平方メートル当たりの造成経費に、所得を生ぜしめた売買ないし交換をした土地の面積を乗じたものとすべきである。以下では、取り敢えず右一平方メートル当たりの造成経費を計算する。

(2) 造成経費の総額

原告は、別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買をした各土地並びに同(六)記載の交換をした土地を含む別表(一〇)記載の土地を宅地造成するため、昭和四九年までに一三五六万三〇〇〇円、昭和五〇年から昭和五二年までに三八三二万七三二四円の合計五一八九万〇三二四円を支出した。(<証拠略>)

(3) 処分可能見込面積

原告が宅地造成した別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買をした各土地並びに同(六)記載の交換をした土地を含む別表(一〇)記載の土地のうち宅地として処分することが可能であると見込まれる土地の面積は、少なくとも後記ア記載の土地の面積一万八二五三平方メートルから後記イ記載の土地の面積七二四平方メートルを控除した一万七五二九・六九平方メートルと認めるのが相当である。

ア 宅地造成をした別表(一〇)記載の右土地から一〇〇七番一の土地を控除した土地の面積は、一万八二五三平方メートルと認めるのが相当である。別表(一〇)記載の土地は、昭和五二年一二月までにほぼ宅地造成が終了していた。そのうち一〇〇七番一の土地は、道路用地であるため宅地として処分できない土地と宅地として処分が可能である土地とが渾然一体となっているから、宅地として処分が可能である土地の面積を正確に算出することができないので、右土地を全体として宅地として処分が可能である土地の面積から除くこととしたものである。そして、別表(一〇)記載の土地から一〇〇七番一の土地を除いた土地の面積は、その後分合筆をした右土地の昭和五七年七月における登記簿記載の面積(別表(一三))を合計した一万八二五三平方メートルとするのが相当である。(<証拠略>)

イ 別表(一〇)記載の土地から一〇〇七番一の土地を除いた右土地のうち宅地として処分することが不可能であると見込まれる土地の面積は、合計七二四平方メートルと認めるのが相当である。別表(一〇)記載の土地から一〇〇七番一の土地を除いた右土地のうち別表(一四)1ないし4、6、7記載の土地並びに同別表5記載の土地の一部は、その現況が道路であり、宅地として処分することは不可能であると見込まれる。また、別表(一〇)記載の土地から一〇〇七番一の土地を除いた右土地のうち別表(一五)記載の土地は、その現況が崖であり、宅地として処分することが不可能であると見込まれる。そして、現況が道路である右部分の面積は六二六平方メートルであり、また現況が崖である右部分の面積は九八平方メートルであると認められる。したがって、別表(一〇)記載の土地から一〇〇七番一の土地を除いた右土地のうち宅地として処分することが不可能であると見込まれる土地の面積は、現況が道路である右部分の面積六二六平方メートルと現況が崖である右部分の面積九八平方メートルとを加えた七二四平方メートルと認めるのが相当である。(<証拠略>)

(4) 一平方メートル当たりの造成経費

原告が右売買及び交換をした土地を含む別表(一〇)記載の土地を宅地造成するのに要した一平方メートル当たりの造成経費は、前記(2)の右宅地造成をするのに原告が支出した造成経費の総額五一八九万〇三二四円を前記(3)の右土地のうち宅地として処分が可能であると見込まれる土地の面積一万七五二九・六九平方メートルで除した二九六〇円(一円未満切捨て)であると認めるのが相当である。

3  原告の反論に対する判断

原告は、各年に原告が現実に支出した造成額をもって当該年の造成経費とすべきであり、かりにそうでないとしても造成工事の単価から造成経費を算定すべきであると主張するとともに、被告主張の処分可能見込面積には処分不可能な土地が含まれており、他方、補完工事費二五〇〇万円を造成経費として算入すべきであると反論する。

しかし、前記2(一)で記載のとおり事業所得の必要経費及び譲渡所得の資産の取得費は、原則として事業所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用及び譲渡所得の資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費としており、その年に生じた費用がその年の必要経費ないし資産の取得費とされるのは事業所得の必要経費のうち販売費、一般管理費その他この所得を生ずべき業務について生じた費用のみである。そして、右造成経費が事業所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用ないし譲渡所得の資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費に当たり、事業所得の販売費、一般管理費その他この所得を生ずべき業務について生じた費用に当たらないことは明らかであるから、各年に原告が現実に支出した造成額をもって当該年の造成経費とすべきであるとする原告の主張は採用しえない。また、原告が別表(五)、(七)及び(八)記載の各売買をした各土地並びに同(六)記載の交換をした土地を宅地造成するのに要した費用を工事単価によって計算する方法は、右工事単価が年によって異なることを考慮すると、原告が右各土地をそれぞれ宅地造成した年が必ずしも明らかではなく、他方原告が右各土地に支出した造成経費の総額が明らかとなっている本件においては、前記2で採用した右造成経費の総額から一平方メートル当たりの造成経費の額を求め、これを各土地の面積に乗じて各土地の造成経費を計算する方法よりも合理的な方法であるとは認め難い。さらに、右各土地のうちアパート用地及び相続配分として譲渡した土地は、いずれも宅地造成されている土地であることは前記認定のとおりであり、また原告が右土地のうち三宅土建株式会社に機械等の置き場に賃貸した土地と認めることができないことも前記で認定したとおりであって、処分不可能な土地と認めることはできない。他方、原告は、昭和五三年及び昭和五四年ころ、昭和五一年及び昭和五二年に宅地造成のうえ譲渡した右各土地について法改正による建築確認基準の変更に対応するため、約五〇〇〇万円で右各土地の補完工事をしたと主張するが、かりに原告がこのような工事を行ったために約五〇〇〇万円を支出したとしても、所得の計算上必要経費に算入すべき金額は、償却費を除いてその年において債務の確定したものに限るのであり(所得税法三七条一項)、右工事費は償却費でないことは明らかであるから、右所得の生じた昭和五一年及び昭和五二年に右工事費の債務が確定していない本件においては、右工事費は昭和五二年までの必要経費には算入されないものと解するのが相当である。(<証拠略>)

四  売買代金額について

1  争点

別表(五)2、(七)3ないし6、9ないし17、(八)2、5、9、10、13、15、16記載の各売買代金の額については、被告の主張と原告の主張とが異なる。

2  当裁判所の判断

別表(五)2、(七)3ないし6、9ないし17、(八)2、5、9、10、13、15、16、17記載の各売買代金額については、右各別表被告主張の代金欄記載の金額であると認められる。(<証拠略>)

3  原告の主張に対する判断

原告は、別表(五)2、(七)3ないし6、9ないし17、(八)2、5、9、10、13、15、16、17記載の各売買代金額の被告主張との差額部分は進入路工事等の工事費及び青石の代金等の経費並びに代金額を二年に分けて収入したものであると反論する。

しかし、<証拠略>の各記載から、原告の右反論自体が疑わしいものであるうえ、右差額が経費であれば、それは売買代金額を減額させるものではないから、いずれにしても原告の右反論は採用しえない。

五  請求原因事実

請求原因事実1、及び同2のうち原告が各係争年分の所得税について修正申告をしたことを除く事実は当事者間に争いがない。

原告が各係争年分の所得税について修正申告をしたことを認めるに足る証拠はない。

六  昭和五〇年分所得税について

1  本件決定について

(一)  総所得金額について

(1) 事業所得の金額について

ア 建築関係について

原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち建築関係の金額が収入金額一〇三七万六〇六七円から必要経費九六一万九六五二円を控除した七五万六四一五円であることは当事者間に争いがない。

イ 宅地造成関係について

あ 収入金額について

(ア) 売買及び交換により生じた所得について

原告が昭和五〇年別表(五)記載のとおり売買をしたこと(ただし、同別表2記載の売買代金を除く。)は当事者間に争いはない。そして、前記四2で認定したとおり、同別表2記載の売買代金は被告主張の三九二万円である。したがって、原告は、右各売買により売買代金合計八六二万円の所得を得たこととなる。

また、原告は別表(六)記載の交換をしたが、その取得資産を譲渡資産の譲渡の直前と同一の用途に供していたとは認められないから、所得税法五八条の適用はないと解される。そして、右譲渡資産の交換により生じた所得は、右交換されたころの右取得資産付近の売買実例である別表(五)2記載の一平方メートル当たりの売買代金額一万八三一八円(その売買代金額は前記で認定したとおり三九二万円であり、その面積は二一四平方メートルである。)に右取得資産の面積一六五平方メートルを乗じた右取得資産の価額三〇二万二四七〇円と、三宅陽一が原告に支払った差金一〇〇万円とを加えた四〇二万二四七〇円である。(<証拠略>)

さらに、前記一3(一)で説示したとおり、原告は、対価を得て継続的に行う意思をもって右各売買及び交換をしていたものであるから、右各売買により生じた所得八六二万円と右交換により生じた所得四〇二万二四七〇円とを加えた合計一二六四万二四七〇円は、原則として事業所得に当たることとなる。

(イ) 譲渡所得に係る収入金額について

前記(ア)の売買をした土地及び交換をした土地のうち原告が昭和四六年六月二五日川之江市から譲り受けた分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した六一平方メートルの部分を除いた土地、二三二平方メートルは、昭和四〇年以前に相続ないし贈与により原告が取得したものであり、昭和四五年一二月から対価を得て継続的に売買する意思をもって宅地造成した土地である。(前記一2、<証拠略>)

このような場合、前記一3(一)及び二1で説示したとおり、右各売買及び交換により生じた所得のうち、右宅地造成に着手する直前における右各売買をした各土地及び右交換をした土地のうち右二三二平方メートル部分の価額が譲渡所得となり、その余の所得が事業所得となる。そこで、右各土地の譲渡所得に係る収入金額は、前記二2(三)で認定した右当時の右各土地の一平方メートル当たりの価額二一四九円に右各土地の面積合計七七六平方メートル(原告が明らかに争わないから自白したものとみなす。)を乗じた一六六万七六二四円と認めるのが相当である。

(ウ) 収入金額の計算

前記二1で認定したとおり、前記(ア)の各売買をした土地及び交換をした土地のうち原告が昭和四六年六月二五日川之江市から譲り受けた分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した六一平方メートルの部分を除いた土地、二三二平方メートルの土地は、原告が昭和四〇年以前に相続ないし贈与により取得し、昭和四五年一二月から対価を得て継続的に売買する意思をもって宅地造成したものであるから、これを売買及び交換したことにより生じた所得のうち事業所得に係る収入金額は、右売買及び交換したことにより生じた所得から譲渡所得に係る収入金額に相当する部分を控除したものである。また、前記(ア)の交換をした土地のうち原告が昭和四六年六月二五日川之江市から譲り受けた分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した六一平方メートルの部分は、右宅地造成に着手した後に取得したものであるから、右土地を交換したことにより生じた所得はすべて事業所得となる。したがって、原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額は、前記(ア)の売買及び交換による収入合計一二六四万二四七〇円から、前記(イ)の譲渡所得に係る収入金額一六六万七六二四円を控除した一〇九七万四八四六円である。

い 必要経費について

(ア) 取得費

原告は、昭和四六年六月二五日、川之江市から、分合筆前一〇二七番二、雑種地、四六二平方メートル及び分合筆前同番一九、雑種地、一一三・七八平方メートルを二四一万四二八二円で譲り受けた。したがって、前記あ(ア)の交換をした土地のうち分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した六一平方メートルの部分を取得するために要した取得費は、右分合筆前一〇二七番二及び分合筆前一〇二七番一九の代金二四一万四二八二円を右両土地の面積合計五七五・七八平方メートルで除した右両土地の一平方メートル当たりの取得費四一九三円(一円未満切捨て)に、分合筆して右交換をした部分の面積六一平方メートルを乗じた二五万五七七三円とするのが相当である。(<証拠略>)

(イ) 造成経費

原告が前記あ(ア)の売買及び交換をした各土地を宅地造成するために要した造成経費は、前記三2で認定したとおり、一平方メートル当たりの造成費用二九六〇円に右各土地の面積合計八三七平方メートルを乗じた二四七万七五二〇円とするのが相当である。

(ウ) 譲渡費用

原告が前記あ(ア)の売買及び交換をするため仲介手数料三六万八五〇〇円及び吉岡辰一外三名に支払った土地売買契約の解約に伴う手数料二七五万円の合計三一一万八五〇〇円を要したことは当事者間に争いがない。

(エ) 必要経費の計算

前記は、いずれも原告が対価を得て継続的に売買をする意思をもって宅地造成に着手した後に要した費用であるから、事業所得の必要経費とするのが相当である。

したがって、原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費は、前記(ア)の取得費二五万五七七三円と前記(イ)の造成経費二四七万七五二〇円と前記(ウ)の譲渡費用三一一万八五〇〇円とを加えた五八五万一七九三円である。

う 宅地造成関係の計算

原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の金額は、前記あの収入金額一〇九七万四八四六円から前記いの必要経費五八五万一七九三円を控除した五一二万三〇五三円である。

ウ 土地賃貸関係について

原告の昭和五〇年分所得税の事業所得のうち土地賃貸関係の収入金額が一四四万円で、必要経費がないから、その金額が一四四万円であることは当事者間に争いがない。

エ 事業所得の計算

原告の昭和五〇年分所得税の事業所得の金額は、前記アの建築関係の金額七五万六四一五円と前記イの宅地造成関係の金額五一二万三〇五三円と前記ウの土地賃貸関係の金額一四四万円とを加えた七三一万九四六八円である。

(2) 不動産所得の金額について

原告の昭和五〇年分所得税の不動産所得の金額が収入金額四四〇万六〇〇〇円から必要経費三七五万六〇八九円を控除した六四万九九一一円であることは当事者間に争いがない。

(3) 総所得金額について

原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額は、前記(1)の事業所得の金額七三一万九四六八円と前記(2)の不動産所得の金額六四万九九一一円とを加えた七九六万九三七九円である。

(二)  分離課税の長期譲渡所得金額について

(1) 収入金額について

ア 売買及び交換により生じた所得について

前記(一)(1)イあ(ア)のとおり、原告は、昭和五〇年、別表(五)記載の売買及び別表(六)記載の交換をして四〇二万二四七〇円の所得を得た。

イ 素地価額について

前記(一)(1)イあ(イ)のとおり、前記アの所得のうち、前記アの売買をした土地及び交換をした土地のうち分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した六一平方メートルの部分を除いた土地、二三二平方メートルの原告が対価を得て継続的に売買する意思をもって宅地造成に着手する直前である昭和四五年一二月における価額は譲渡所得(右各土地の取得が昭和四〇年以前であるから分離課税の長期譲渡所得)となる。そして、右価額は、右各土地の譲渡所得に係る収入金額は、前記(一)(1)イあ(イ)で認定したとおり一六六万七六二四円である。

(2) 経費について

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る経費は、前記(1)の同所得に係る収入金額一六六万七六二四円の一〇〇分の五に相当する概算取時費八万三三八一円(一円未満四捨五入)とするのが相当である(租税特別措置法三一条の五)。なお、前記アの売買をした土地及び交換をした土地のうち分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した六一平方メートルの部分を除いた土地、二三二平方メートルの取得に要した金額と改良費とは、前記(一)(1)イい(エ)のとおり、いずれも事業所得の必要経費とすべきであるから、分離課税の長期譲渡所得金額の経費とはならない。

(3) 分離課税の長期譲渡所得金額の計算

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額は、前記(1)の収入金額一六六万七六二四円から前記(2)の経費八万三三八一円を控除した一五八万四二四三円である。

(三)  本件決定の適法性について

前記一のとおり本件決定においては原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額が二三五万二八八六円、分離課税の長期譲渡所得金額が一九五万六九七〇円、その合計額が四三〇万九八五六円とされていたところ、原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額は前記(一)のとおり七九六万九三七九円であり、分離課税の長期譲渡所得金額は前記(二)のとおり一五八万四二四三円であり、その合計額は九五五万三六二二円であるから、右合計額の範囲内でされた本件決定に違法はない。

2  本件賦課決定(一)について

(一)  本件決定の存在について

原告が昭和五〇年分所得税の納税申告書を提出すべき義務があったにもかかわらず、これを提出しなかったので、被告が、昭和五四年三月一二日、本件決定を行ったことは当事者間に争いがない。

(二)  無申告加算税の額について

(1) 納付すべき所得税の額について

ア 総所得金額に係る所得税の額について

あ 課税総所得金額について

原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額は、前記1(一)で認定したとおり七九六万九三七九円である。他方、原告の昭和五〇年分所得税に係る所得控除額が一五一万二〇〇〇円であることは当事者間に争いがない。

したがって、原告の昭和五〇年分所得税の課税総所得金額は、右総所得金額七九六万九三七九円から右所得控除額一五一万二〇〇〇円を控除した六四五万七〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨て)である。

い 総所得金額に係る所得税の額の計算

原告の昭和五〇年分所得税の総所得金額に係る所得税の額は、前記あの課税総所得金額六四五万七〇〇〇円に一〇〇分の三〇を乗じた一九三万七一〇〇円から六六万円を控除した一二七万七一〇〇円である。

イ 分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額について

あ 分離課税の課税長期譲渡所得金額について

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額は、前記1(二)で認定したとおり一五八万四二四三円である。他方、分離課税の長期譲渡所得に係る特別控除額が一〇〇万円であることは当事者間に争いがない。

したがって、原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の課税長期譲渡所得金額は、右の分離課税の長期譲渡所得金額一五八万四二四三円から右特別控除額一〇〇万円を控除した五八万四〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨て)である。

い 分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額の計算

原告の昭和五〇年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額に係る所得税の額は、前記あの分離課税の課税長期譲渡所得金額五八万四〇〇〇円に一〇〇分の二〇を乗じた一一万六八〇〇円である。

ウ 納付すべき所得税の額の計算

原告の昭和五〇年分所得税の納付すべき額は、前記アの総所得金額に係る所得税の額一二七万七一〇〇円と前記イの分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額一一万六八〇〇円とを加えた一三九万三九〇〇円である。

(2) 無申告加算税の額の計算

原告の昭和五〇年分所得税に係る無申告加算税の額は前記(1)の納付すべき所得税の額一三九万三九〇〇円の一〇〇〇円未満を切り捨てた一三九万三〇〇〇円に、一〇〇分の一〇を乗じた一三万九三〇〇円である。

(三)  本件賦課決定(一)の適法性について

前記五のとおり本件賦課決定(一)においては原告の昭和五〇年分所得税に係る無申告加算税の額が二万四〇〇〇円とされていたところ、原告の昭和五〇年分所得税に係る無申告加算税の額は前記(二)のとおり一三万九三〇〇円であるから、右合計額の範囲内でされた本件賦課決定(一)に違法はない。

七  昭和五一年分所得税について

1  本件更正(一)について

(一)  総所得金額について

(1) 事業所得の金額について

ア 建築関係の金額について

原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち建築関係の金額が収入金額二二九万九三九一円から必要経費二〇九万四七四六円を控除した二〇万四六四五円であることは当事者間に争いがない。

イ 宅地造成関係の金額について

あ 収入金額について

(ア) 売買により生じた所得について

原告が昭和五一年別表(七)1ないし14記載のとおり売買をしたこと(ただし、同別表3ないし6、9ないし14記載の売買代金を除く。)は当事者間に争いはない。そして、原告が昭和五一年同別表15ないし17記載の売買を行ったことが認められ(<証拠略>)、また前記四2で認定したとおり、同別表3ないし6、9ないし17記載の売買代金は被告主張の金額である。したがって、原告は、昭和五一年、別表(七)記載の売買により売買代金合計四八四九万円の所得を得たこととなる。

また、前記一3(一)で説示したとおり、原告は、対価を得て継続的に行う意思をもって右各売買をしていたものであるから、右各売買により生じた所得四八四九万円は、原則として事業所得に当たることとなる。

(イ) 譲渡所得に係る収入金額

前記(ア)の売買をした各土地のうち、別表(七)1ないし5、7ないし17の売買をした各土地及び同別表6記載の売買をした土地のうち原告が昭和四六年六月二五日川之江市から譲り受けた分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した一九八平方メートルの部分を除いた土地は、昭和四〇年以前に相続ないし贈与により原告が取得したものであり、昭和四五年一二月から対価を得て継続的に売買する意思をもって宅地造成した土地である。(前記一2、<証拠略>)

このような場合、前記一3(一)及び二1で説示したとおり、右各売買により生じた所得のうち、右宅地造成に着手する直前における別表(七)1ないし5、7ないし17の売買をした各土地及び同別表6記載の売買をした土地のうち分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した一九八平方メートルの部分を除いた土地の価額が譲渡所得となり、その余の所得が事業所得となる。そこで、右各土地の譲渡所得に係る収入金額は、前記二2(三)で認定した右当時の右各土地の一平方メートル当たりの価額二一四九円に右各土地の面積合計一六五五平方メートル(原告が明らかに争わないから自白したものとみなす。)を乗じた三五五万六五九五円と認めるのが相当である。

(ウ) 収入金額の計算

前記二1で認定したとおり、前記(ア)の別表(七)1ないし5、7ないし17の売買をした各土地及び同別表6記載の売買をした土地のうち分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した一九八平方メートルの部分を除いた土地は、原告が昭和四〇年以前に相続ないし贈与により取得し、昭和四五年一二月から対価を得て継続的に売買する意思をもって宅地造成したものであるから、これを売買したことにより生じた所得のうち事業所得に係る収入金額は、右売買及び交換したことにより生じた所得から譲渡所得に係る収入金額に相当する部分を控除したものである。また、前記(ア)の別表(七)6記載の売買をした土地のうち分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した一九八平方メートルの部分は、右宅地造成に着手した後に取得したものであるから、右土地を交換したことにより生じた所得はすべて事業所得となる。したがって、原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額は、前記(ア)の売買による収入合計四八四九万円から、前記(イ)の譲渡所得に係る収入金額三五五万六五九五円を控除した四四九三万三四〇五円である。

い 必要経費について

(ア) 取得費について

前記六1(一)(1)イい(ア)で認定したとおり、前記あ(ア)の別表(七)6記載の売買をした土地のうち昭和四六年六月二五日川之江市から分合筆前一〇二七番二、雑種地、四六二平方メートルの土地から分合筆した一九八平方メートルの部分を取得するために要した取得費は、右分合筆前一〇二七番二及び分合筆前一〇二七番一九の一平方メートル当たりの取得費四一九三円(一円未満切捨て)に、分合筆して右交換をした部分の面積一九八平方メートルを乗じた八三万〇二一四円とするのが相当である。

(イ) 造成経費について

原告が前記あ(ア)の売買をした各土地を宅地造成するために要した造成経費は、前記三2で認定したとおり、一平方メートル当たりの造成費用二九六〇円に右各土地の面積合計一八五三平方メートルを乗じた五四八万四八八〇円とするのが相当である。

(ウ) 譲渡費用について

原告が前記あ(ア)の売買をするため仲介手数料一三九万八八六〇円及び支払利息七四万七九二八円の合計二一四万六七八八円を要したことは当事者間に争いがない。

(エ) 必要経費の計算

前記(ア)の取得費、(イ)の造成経費及び(ウ)の譲渡費用は、いずれも原告が対価を得て継続的に売買をする意思をもって宅地造成に着手した後に要した費用であるから、事業所得の必要経費とするのが相当である。

したがって、原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費は、前記(ア)の取得費八三万〇二一四円と前記(イ)の造成経費五四八万四八八〇円と前記(ウ)の譲渡費用二一四万六七八八円とを加えた八四六万一八八二円である。

う 宅地造成関係の金額の計算

原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の金額は、前記あの収入金額四四九三万三四〇五円から前記いの必要経費八四六万一八八二円を控除した三六四七万一五二三円である。

ウ 土地賃貸関係の金額について

原告の昭和五一年分所得税の事業所得のうち土地賃貸関係の収入金額が九六万円で、必要経費がないから、その金額が九六万円であることは当事者間に争いがない。

エ 事業所得の金額の計算

原告の昭和五一年分所得税の事業所得の金額は、前記アの建築関係の金額二〇万四六四五円と前記イの宅地造成関係の金額三六四七万一五二三円と前記ウの土地賃貸関係の金額九六万円とを加えた三七六三万六一六八円である。

(2) 不動産所得の金額について

原告の昭和五一年分所得税の不動産所得の金額が収入金額七七九万三〇〇〇円から必要経費六一二万〇七三四円を控除した一六七万二二六六円であることは当事者間に争いがない。

(3) 利子所得の金額について

原告の昭和五一年分所得税の利子所得の金額が利子等の収入金額一六万四七〇〇円であることは当事者間に争いがない。

(4) 総所得金額について

原告の昭和五一年分所得税の総所得金額は、前記(1)の事業所得の金額三七六三万六一六八円と前記(2)の不動産所得の金額一六七万二二六六円と(3)の利子所得の金額一六万四七〇〇円とを加えた三九四七万三一三四円である。

(二)  分離課税の長期譲渡所得金額について

(1) 収入金額について

ア 売買により生じた所得について

前記(一)(1)イあ(ア)のとおり、原告は、昭和五一年、別表(七)記載の売買をして四八四九万円の所得を得た。

右売買のうち、同別表1ないし3及び6記載の売買が特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(租税特別措置法三七条)の場合に当たるから、譲渡所得に関しその売買がなかったものとされることについては当事者間に争いがない。

原告は、別表(七)4及び5記載の売買も特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例を受けると主張する。しかし、右特例の適用を受けるためには譲渡資産を事業の用に供しているものであることを要するところ、右売買をした土地を原告が事業の用に供していたとは認められない。(<証拠略>)したがって、右主張は採用しえない。

イ 素地価額について

前記(一)(1)イあ(イ)のとおり、前記アの所得のうち、前記アの別表(七)4、5、7ないし17の売買をした各土地の、原告が対価を得て継続的に売買する意思をもって宅地造成に着手する直前である昭和四五年一二月における価額は譲渡所得(右各土地の取得が昭和四〇年以前であるから分離課税の長期譲渡所得)となる。そして、右各土地の譲渡所得に係る収入金額は、前記二2(三)で認定した右各土地の一平方メートル当たりの価額二一四九円に右各土地の面積合計八一九平方メートル(原告が明らかに争わないから自白したものとみなす。)を乗じた一七六万〇〇三一円と認めるのが相当である。

(2) 経費について

原告の昭和五一年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る経費は、前記(1)の同所得に係る収入金額一七六万〇〇三一円の一〇〇分の五に相当する概算取得費八万八〇〇二円(一円未満四捨五入)とするのが相当である(租税特別措置法三一条の五)。なお、前記アの売買をした土地のうち分合筆前一〇二七番二、四六二平方メートルの土地から分合筆した一九八平方メートルの部分を除いた土地の取得に要した金額と改良費とは、前記(一)(1)イい(エ)のとおり、いずれも事業所得の必要経費とすべきであるから、分離課税の長期譲渡所得金額の経費とはならない。

(3) 分離課税の長期譲渡所得金額の計算

原告の昭和五一年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額は、前記(1)の収入金額一七六万〇〇三一円から前記(2)の経費八万八〇〇二円を控除した一六七万二〇二九円である。

(三)  本件更正(一)の適法性について

前記五のとおり本件更正(一)においては原告の昭和五一年分所得税の総所得金額が一三五五万八八二二円、分離課税の長期譲渡所得金額が六四一万三五五〇円、その合計額が一九九七万二三七二円であるところ、原告の昭和五一年分所得税の総所得金額は前記(一)のとおり三九四七万三一三四円であり、分離課税の長期譲渡所得金額は前記(二)のとおり一六七万二〇二九円であり、その合計額は四一一四万五一六三円であるから、右合計額の範囲内でされた本件更正(一)に違法はない。

2  本件賦課決定(二)について

(一)  本件更正(一)の存在について

原告が昭和五二年三月一五日被告に対し提出した昭和五一年分所得税の納税申告書に記載された課税標準等又は税額等が、被告の調査したところと異なるので、被告が昭和五二年三月一五日本件更正(一)を行ったことは当事者間に争いがない。

(二)  過少申告加算税の額について

(1) 納付すべき所得税の額について

ア 総所得金額に係る所得税の額について

あ 課税総所得金額について

原告の昭和五一年分所得税の総所得金額は、前記1(一)で認定したとおり三九四七万三一三四円である。他方、原告の昭和五一年分所得税に係る所得控除額が一四七万三〇〇〇円であることは当事者間に争いがない。

したがって、原告の昭和五一年分所得税の課税総所得金額は、右総所得金額三九四七万三一三四円から右所得控除額一四七万三〇〇〇円を控除した三八〇〇万円(一〇〇〇円未満切捨て)である。

い 総所得金額に係る所得税の額の計算

原告の昭和五一年分所得税の総所得金額に係る所得税の額は、前記あの課税総所得金額三八〇〇万円に一〇〇分の六〇を乗じた二二八〇万円から五二四万円を控除した一七五六万円である。

イ 分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額について

あ 分離課税の課税長期譲渡所得金額について

原告の昭和五一年分所得税の分離課税の課税長期譲渡所得金額は、前記1(二)で認定した同分離課税の長期譲渡所得金額一六七万二〇二九円の一〇〇〇円未満を切り捨てた一六七万二〇〇〇円である。

い 分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額の計算

原告の昭和五一年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額に係る所得税の額は、前記あの分離課税の課税長期譲渡所得金額一六七万二〇〇〇円に一〇〇分の二〇を乗じた三三万四四〇〇円である。

ウ 納付すべき所得税の額の計算

原告の昭和五一年分所得税の納付すべき額は、前記アの総所得金額に係る所得税の額一七五六万円と前記イの分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額三三万四四〇〇円とを加えた一七八九万四四〇〇円である。

(2) 過少申告加算税の額の計算

原告の昭和五一年分所得税に係る無申告加算税の額は、前記(1)の納付すべき所得税の額一七八九万四四〇〇円から前記(1)の本件確定申告(一)の所得税の額二六万七四〇〇円を控除した一七六二万七〇〇〇円に、一〇〇分の五を乗じた八八万一三〇〇円(一〇〇円未満切捨て)である。

(三)  本件賦課決定(二)の適法性について

前記五のとおり本件賦課決定(二)においては原告の昭和五一年分所得税に係る過少申告加算税の額が一九万一三〇〇円とされていたところ、原告の昭和五一年分所得税に係る過少申告加算税の額は前記(二)のとおり八八万一三〇〇円であるから、右範囲内でされた本件賦課決定(二)に違法はない。

八  昭和五二年分所得税について

1  本件更正(二)について

(一)  総所得金額について

(1) 事業所得の金額について

ア 建築関係の金額について

原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち建築関係の金額が収入金額一九三七万四八四七円から必要経費一七六三万八八六一円を控除した一七三万五九八六円であることは当事者間に争いがない。

イ 宅地造成関係の金額について

あ 収入金額について

(ア) 売買により生じた所得について

原告が昭和五二年別表(八)1ないし16記載のとおり売買をしたこと(ただし、同別表2、5、9、10、13、15、16記載の売買代金を除く。)は当事者間に争いはない。そして、原告が昭和五二年同別表17記載の売買を行ったことが認められ(<証拠略>)、また前記四2で認定したとおり、同別表2、5、9、10、13、15、16記載の売買代金は被告主張の金額である。したがって、原告は、昭和五二年、別表(八)記載の売買により売買代金合計八一六四万七〇〇〇円の所得を得たこととなる。

また、前記一3(一)で説示したとおり、原告は、対価を得て継続的に行う意見をもって右各売買をしていたものであるから、右各売買により生じた所得八一六四万七〇〇〇円は、原則として事業所得に当たることとなる。

(イ) 譲渡所得に係る収入金額について

前記(ア)の売買をした各土地は、昭和四〇年以前に相続ないし贈与により原告が取得したものであり、昭和四五年一二月から対価を得て継続的に売買する意思をもって宅地造成した土地である。(前記一2、<証拠略>)

このような場合、前記一3(一)及び二1で説示したとおり、右各売買により生じた所得のうち、右宅地造成に着手する直前における右各土地の価額が譲渡所得となり、その余の所得が事業所得となる。そこで、右各土地の譲渡所得に係る収入金額は、前記二2(三)で認定した右当時の右各土地の一平方メートル当たりの価額二一四九円に右各土地の面積合計三三八七・四平方メートル(原告が明らかに争わないから自白したものとみなす。)を乗じた七二七万九五二三円(一円未満四捨五入)と認めるのが相当である。

(ウ) 収入金額の計算

前記二1で説示したとおり、前記(ア)の別表(八)の売買をした各土地のように、原告が昭和四〇年以前に相続ないし贈与により取得し、昭和四五年一二月から対価を得て継続的に売買する意思をもって宅地造成した土地を、売買したことにより生じた所得のうち譲渡所得に係る収入金額は、右売買をしたことにより生じた所得から譲渡所得に係る収入金額に相当する部分を控除したものである。したがって、原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の収入金額は、前記(ア)の売買による収入合計八一六四万七〇〇〇円から、前記(イ)の譲渡所得に係る収入金額七二七万九五二三円を控除した七四三六万七四七七円である。

い 必要経費について

(ア) 造成経費について

原告が前記あ(ア)の売買をした各土地を宅地造成するために要した造成経費は、前記三2で認定したとおり、一平方メートル当たりの造成費用二九六〇円に右各土地の面積合計三三八七・四平方メートルを乗じた一〇〇二万六七〇四とするのが相当である。

(イ) 譲渡費用について

原告が前記あ(ア)の売買をするため仲介手数料二九一万八〇〇〇円及び支払利息八一万〇七五八円の合計三七二万八七五八円を要したことは当事者間に争いがない。

(ウ) 必要経費の計算

前記(ア)の造成経費及び(イ)の譲渡費用は、いずれも原告が対価を得て継続的に売買をする意思をもって宅地造成に着手した後に要した費用であるから、事業所得の必要経費とするのが相当である。

したがって、原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の必要経費は、前記(ア)の造成経費一〇〇二万六七〇四円と前記(イ)の譲渡費用三七二万八七五八円とを加えた一三七五万五四六二円である。

う 宅地造成関係の金額の計算

原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち宅地造成関係の金額は、前記あの収入金額七四三六万七四七七円から前記いの必要経費一三七五万五四六二円を控除した六〇六一万二〇一五円である。

ウ 土地賃貸関係の金額について

原告の昭和五二年分所得税の事業所得のうち土地賃貸関係の収入金額が一五万円で、必要経費がないから、その金額が一五万円であることは当事者間に争いがない。

エ 事業所得の金額の計算

原告の昭和五二年分所得税の事業所得の金額は、前記アの建築関係の金額一七三万五九八六円と前記イの宅地造成関係の金額六〇六一万二〇一五円と前記ウの土地賃貸関係の金額一五万円とを加えた六二四九万八〇〇一円である。

(2) 不動産所得の金額について

原告の昭和五二年分所得税の不動産所得の金額が収入金額一二二九万二一六六円から必要経費七七一万三三四七円を控除した四五七万八八一九円であることは当事者間に争いがない。

(3) 利子所得の金額について

原告の昭和五二年分所得税の利子所得の金額が利子等の収入金額の二一万四五〇〇円であることは当事者間に争いがない。

(4) 総所得金額について

原告の昭和五二年分所得税の総所得金額は、前記(1)の事業所得の金額六二四九万八〇〇一円と前記(2)の不動産所得の金額四五七万八八一九円と(3)の利子所得の金額二一万四五〇〇円とを加えた六七二九万一三二〇円である。

(二)  分離課税の長期譲渡所得金額について

(1) 収入金額について

ア 売買により生じた所得について

前記(一)(1)イあ(ア)のとおり、原告は、昭和五二年、別表(八)記載の売買をして八一六四万七〇〇〇円の所得を得た。

右売買のうち、同別表1記載の売買が特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(租税特別措置法三七条)の場合に当たるから、譲渡所得に関しその売買がなかったものとされることについては当事者間に争いがない。

原告は、別表(八)2ないし8記載の売買も特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例を受けると主張する。しかし、右特例の適用を受けるためには譲渡資産を事業の用に供しているものであることを要するところ、右売買をした土地を原告が事業の用に供していたとは認められない。(<証拠略>)したがって、右主張は採用しえない。

イ 素地価額について

前記(一)(1)イあ(イ)のとおり、前記アの所得のうち、前記アの別表(八)2ないし17の売買をした各土地の原告が対価を得て継続的に売買する意思をもって宅地造成に着手する直前である昭和四五年一二月における価額は譲渡所得(右各土地の取得が昭和四〇年以前であるから分離課税の長期譲渡所得)となる。そして、右各土地の譲渡所得に係る収入金額は、前記二2(三)で認定した右各土地の一平方メートル当たりの価額二一四九円に右各土地の面積合計三二二〇・四平方メートル(原告が明らかに争わないから自白したものとみなす。)を乗じた六九二万〇六四〇円(一円未満四捨五入)と認めるのが相当である。

(2) 経費について

原告の昭和五二年分所得税の分離課税の長期譲渡所得に係る経費は、前記(1)の同所得に係る収入金額六九二万〇六四〇円の一〇〇分の五に相当する概算取得費三四万六〇三二円とするのが相当である(租税特別措置法三一条の五)。なお、前記アの売買をした各土地の取得に要した金額と改良費とは、前記(一)(1)イい(ウ)のとおり、いずれも事業所得の必要経費とすべきであるから、分離課税の長期譲渡所得金額の経費とはならない。

(3) 分離課税の長期譲渡所得金額の計算

原告の昭和五二年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額は、前記(1)の収入金額六九二万〇六四〇円から前記(2)の経費三四万六〇三二円を控除した六五七万四六〇八円である。

(三)  本件更正(二)の適法性について

前記五のとおり本件更正(二)においては原告の昭和五二年分所得税の総所得金額が二四六五万〇三五一円、分離課税の長期譲渡所得金額が二七二一万六八五五円、その合計額が五一八六万七二〇六円であるところ、原告の昭和五二年分所得税の総所得金額は前記(一)のとおり六七二九万一三二〇円であり、分離課税の長期譲渡所得金額は前記(二)のとおり六五七万四六〇八円であり、その合計額は七三八六万五九二八円であるから、右合計額の範囲内でされた本件更正(二)に違法はない。

2  本件賦課決定(三)について

(一)  本件更正(二)の存在について

原告が昭和五三年三月一五日被告に対し提出した昭和五二年分所得税の納税申告書に記載された課税標準等又は税額等が、被告の調査したところと異なるので、被告が昭和五四年三月一二日本件更正(二)を行ったことは当事者間に争いがない。

(二)  過少申告加算税の額について

(1) 納付すべき所得税の額について

ア 総所得金額に係る所得税の額について

あ 課税総所得金額について

原告の昭和五二年分所得税の総所得金額は、前記1(一)で認定したとおり六七二九万一三二〇円である。他方、原告の昭和五二年分所得税に係る所得控除額が一七四万五〇〇〇円であることは当事者間に争いがない。

したがって、原告の昭和五二年分所得税の課税総所得金額は、右総所得金額六七二九万一三二〇円から右所得控除額一七四万五〇〇〇円を控除した六五五四万六〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨て)である。

い 総所得金額に係る所得税の額の計算

原告の昭和五二年分所得税の総所得金額に係る所得税の額は、前記あの課税総所得金額六五五四万六〇〇〇円に一〇〇分の七〇を乗じた四五八八万二二〇〇円から一〇二四万円を控除した三五六四万二二〇〇円である。

イ 分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額について

あ 分離課税の課税長期譲渡所得金額について

原告の昭和五二年分所得税の分離課税の課税長期譲渡所得金額は、前記1(二)で認定した同分離課税の長期譲渡所得金額六五七万四六〇八円の一〇〇〇円未満を切り捨てた六五七万四〇〇〇円である。

い 分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額の計算

原告の昭和五二年分所得税の分離課税の長期譲渡所得金額に係る所得税の額は、前記あの分離課税の課税長期譲渡所得金額六五七万四〇〇〇円に一〇〇分の二〇を乗じた一三一万四八〇〇円である。

ウ 納付すべき所得税の額の計算

原告の昭和五二年分所得税の納付すべき額は、前記アの総所得金額に係る所得税の額三五六四万二二〇〇円と前記イの分離課税の長期譲渡所得に係る所得税の額一三一万四八〇〇円とを加えた三六九五万七〇〇〇円である。

(2) 過少申告加算税の額の計算

原告の昭和五一年分所得税に係る無申告加算税の額は、前記(1)の納付すべき所得税の額三六九五万七〇〇〇円から前記(1)の本件確定申告(二)の所得税の額二六万三六〇〇円を控除した三六六九万三四〇〇円に、一〇〇分の五を乗じた一八三万四六〇〇円(一〇〇円未満切捨て)である。

(三)  本件賦課決定(三)の適法性について

前記五のとおり本件賦課決定(三)においては原告の昭和五二年分所得税に係る過少申告加算税の額が八〇万〇三〇〇円とされていたところ、原告の昭和五二年分所得税に係る過少申告加算税の額は前記(二)のとおり一八三万四六〇〇円であるから、右範囲内でされた本件賦課決定(三)に違法はない。

九  結論

よって、本訴請求はいずれも理由がないからこれらを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 八束和廣 細井正弘 牧賢二)

別表(一)ないし(一五) <略>

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